アニメートされたオブジェクトのゴースティング

 
 
 

「オニオンスキン」とも呼ばれるアニメーションのゴースティングは、現在のフレームの前後にあるフレームまたはキーフレームでアニメートされたオブジェクトの一連のスナップショットを表示する表示モードです。このモードを使用すると、オブジェクトのモーションを簡単に視覚化でき、タイミングやフローの調整に役立ちます。

ゴースティングはセル アニメーションの世界に由来します。セル アニメーションのアニメータは、前と後のキーフレームが描かれた透明シートを参照として使用しながら絵を描きます。アニメータはオブジェクトの動きを感じ取ることができ、キーフレームを編集する際のガイドにもなります。

アクション クリップに保存されたモーション キャプチャのアニメーションを持つキャラクタを、ゴースト表示したものです。アニメートされたオブジェクトのジオメトリがゴースト表示されていますが、表示はモーションの軌跡、点、ベクトルに変更できます。

ゴースティング機能は 3D 空間内で動くすべてのオブジェクトに対応しています。オブジェクトの変換パラメータ(スケール、回転、移動)をアニメートすることによるアニメーション、またはシェイプ アニメーションやアニメートされたデフォーメーション(エンベロープ、リジッド ボディ、クロス、およびソフト ボディを含む)によるオブジェクトのジオメトリのデフォーメーションなどのアニメーションをゴースティングできます。変換パラメータは、F カーブ(キー)、コンストレイント、エクスプレッション、スクリプト オペレータ、Animation Mixer のアクション クリップなど、どのような方法でアニメートしても構いません。

ヒント:リジッド ボディ シミュレーションでゴースティングを使用するには、まずシミュレーションをキャッシュしてください(「ICE シミュレーション環境キャッシュ ファイルを作成する」(「データ交換」)を参照)。

ゴースト イメージはキャッシュされず、各フレームのアニメートされたオブジェクトに対して描画されます。したがって、ゴースト イメージはオブジェクトのアニメーションを変更しても自動的に更新されます。ゴーストは選択したり、修正することはできず、レンダリングもできません。

以下の他のタイプのゴーストも表示できます。

ゴースティングの概要

アニメーション付きオブジェクトのゴースティングを見るには、いくつかの手順を実行し、いくつかのオプションを選択する必要があります。

シーンのレイヤとグループの設定は、個別のオブジェクトの設定より優先することに注意してください。

3D ビューでゴースティングを有効化する

アニメートされたオブジェクトのゴーストをシェイプとして表示するには、いずれかの 3D ビューのゴースティングを有効にする必要があります。ゴースティングはビューポート、オブジェクト ビュー、または XSI Explorer で設定します。ゴースティング機能は[ワイヤフレーム]、[シェーディング]、[テクスチャ]など、すべての 3D ビュー表示モードで使用できます。ただし、ゴーストの形状としてオブジェクトのジオメトリを使用する場合、形状は常にワイヤフレームで表示されます(他の表示オプションについては「ゴーストの表示タイプを選択する」を参照してください)。

  1. 次のいずれかの操作を実行します。

    • 3D ビューの[ディスプレイモード]メニューで[アニメーションゴースティング](Animation Ghosting)コマンドを選択します。

      または

    • ディスプレイ モード メニューで[ディスプレイ オプション](Display Options)を選択して、[Camera Display]プロパティ エディタを開きます。次に、[ゴースティング](Ghosting)タブをクリックして[アニメーションゴースティング有効](Enable Animation Ghosting)を選択します。

  2. [カメラ表示]プロパティ エディタでゴースト表示のオプションを設定します(設定方法については、次の「ゴースト表示をコントロールする」セクションを参照)。

すべてのビューポートの 3D ビューでゴースティングを有効にするには

  1. メインメニューで[ディスプレイ](Display) [ディスプレイオプション](Display Options)([すべてのカメラ](All Cameras))を選択して、すべてのビューポートの[カメラ表示]プロパティ エディタを開きます。

  2. [ゴースティング](Ghosting)タブをクリックし、[アニメーションゴースティング有効](Enable Animation Ghosting)を選択します。

オブジェクトのゴースティングを有効化する

ゴースティングはオブジェクトごとに設定できます。シーンのレイヤとグループの設定は個々のオブジェクトの設定に優先するので注意してください。たとえば、オブジェクトのゴースティングを有効にしてもそのシーンのレイヤでオフになっている場合、オブジェクトのゴーストは表示されません。

オブジェクトごとのゴースト表示を有効にするには

  1. Explorer でオブジェクトの[表示/非表示]アイコンをクリックして、[表示/非表示]プロパティ エディタを開きます。

  2. アニメーション エリアで、[ゴースティング]オプションを選択します。

    このオプションがオンで利用不可になっている(グレーで表示されている)場合、オブジェクトはゴースティング設定が有効なシーンのレイヤまたはグループに属していることを示します(次の「シーンのレイヤとグループのゴースティングを有効化する」セクションを参照)。

選択中のオブジェクトのゴースティング表示を切り替えるには

  • Softimage ウィンドウの上部にあるメインメニューで、[ディスプレイ](Display) [選択のゴースト/ゴースト解除](Ghost/Unghost Selection)を選択します。

    この操作により、選択中のオブジェクトのビューポートでのゴースト表示が切り替わり、オブジェクト、そのシーンのレイヤ、またはそのグループのゴースト設定が優先されます。

シーンの全オブジェクトのゴースティングを無効にするには

  • メインメニューで[ディスプレイ](Display) [すべてのオブジェクトのゴースト解除](Unghost All Objects)を選択します。

    この操作により、シーン内の全オブジェクトの 3D ビューでのゴースト表示は無効になります。各オブジェクト、シーンのレイヤ、またはグループのゴースト設定はオーバーライドされます。

シーンのレイヤとグループのゴースティングを有効化する

ゴースティングは、オグジェクトごとに設定できるだけでなく、シーンのレイヤまたはグループ内のアニメートされたオブジェクトすべてに設定することができます。シーンのレイヤとグループの設定は個別のオブジェクトの設定に優先することに注意してください。

アニメートされたオブジェクトのゴースティングをシーンのレイヤ単位で有効にするには

  • 次のいずれかを実行します。

    • メイン コマンド パネルの下部にある[KP/L]タブをクリックして Scene Layer Manager を開きます。次に、シーンのレイヤパネルで[ビュー](View) [ゴースト表示/非表示の表示](Show Ghosting Visibility)を選択します。この操作により、現在のシーンのレイヤ上のオブジェクトがゴースト表示されます。

      または

    • Scene Layer Manager([6]キーを押す)で、ゴースティングを表示させるシーンのレイヤの[ゴースト](Ghost)セルをクリックします。

      または

    • Explorer で該当するシーンのレイヤ アイコンをクリックして[Layer]プロパティ エディタを開き、[アニメーションゴースティング](Members are ghosted)オプションの[メンバをゴースト](Animation Ghosting)を選択します。この操作により、そのシーンのレイヤ上のオブジェクトのみがゴースト表示されます。

アニメートされたメンバーのゴースティングをグループ単位で有効にするには

  1. Explorer で、該当するグループ アイコンをクリックして[グループ]プロパティ エディタを開きます。

  2. [アニメーションゴースティング](Ghost members)オプションで[メンバをゴースト](Animation Ghosting)を選択します。この操作により、そのグループ内のオブジェクトのみがゴースト表示されます。

シーンのレイヤやグループ内にあるメンバーのゴースティングの動作を指定するには

  1. Explorer で、レイヤ アイコンまたはグループ アイコンをクリックしてシーンの[レイヤ]プロパティ エディタまたは[グループ]プロパティ エディタを開きます。

  2. メンバーの[アニメーションゴースティング](Animation Ghosting)リストで、以下のいずれかのオプションを選択します。

    • [メンバーをゴーストにしない](Do not ghost members) アニメーション オブジェクトはゴースティングされません。個々のメンバの[表示/非表示]プロパティの[アニメーションゴースティング]設定は上書きされます。

    • [メンバをゴースト](Ghost members) アニメーション オブジェクトはゴースティングされます。個々のメンバの[表示/非表示]プロパティの[アニメーションゴースティング]設定は上書きされます。

    • [メンバに影響無し](No effect on members): メンバのゴースティングの有効/無効は、それぞれの[Visibility]プロパティの[アニメーションゴースティング]設定に従います。各メンバの[表示/非表示]プロパティは上書きされません。

ゴースト表示をコントロールする

ゴースティングはすべての 3D ビューで表示できます。シェーディング、テクスチャ、陰線など、どのディスプレイ モードでもゴースティングを利用できますが、ゴーストのジオメトリは常にワイヤフレームで表示されます。他のオブジェクトの手前に表示させたり、時間軸に沿って現在のフレームより遠ざかるほど薄くぼやけて(より透明に)表示させたりすることができます。

既定ではゴーストの形状にはオブジェクトのジオメトリが使用されますが、オグジェクトごとに表示タイプを変更できます(詳細については「ゴーストの表示タイプを選択する」を参照)。

ゴーストは現在のフレームの前方、その後方、あるいはその両方において、任意のフレーム間隔で表示できます。また、オブジェクトの変換パラメータに設定されたキーフレーム、あるいは静止フレームをゴースト表示することも可能です。

さらに、フレーム、キーフレーム、および静止フレームを目的に合わせて組み合わせて表示するよう設定することもできます。たとえば、キーフレームを 1 つの色で表示し、それらの間を補間するフレームは別の色で表示できます。

[フレーム前]を 6、[フレーム ステップ]を 1 に設定したゴースト。濃い緑のキーフレームとキーフレームの間のフレームも、明るい色のゴーストで表示されています。

3D ビューでゴースト表示をコントロールするには

  1. ディスプレイ モード メニューで[ディスプレイ オプション](Display Options)を選択して、[Camera Display]プロパティ エディタを開きます。

  2. [ゴースティング]タブをクリックし、[アニメーションゴースティング有効](Enable Animation Ghosting)を選択します。

  3. 以下の状態のフレームにゴーストを設定するために、[アニメーションゴースティング](Animation Ghosting)パラメータを設定します。

    • フレームの組み合わせ(現在のフレームより[前](before)のフレームまたは現在のフレームより[後](after)のフレーム、あるいはその両方など)

    • キーフレーム

    • スタティック フレーム(特定のフレーム上でのみゴーストを描画する)

これらの各パラメータの詳細については、[カメラ表示]プロパティ エディタの「アニメーション ゴースティング」を参照してください。

A

ビュー内でゴーストをオブジェクトのトップに表示します。

B

ゴーストの表示は、時間軸に沿って現在のフレームから離れるほどフェード アウトしていきます(次第に透明度を増します)。

C

モーションの軌跡の表示の滑らかさに影響する分割数です(「軌跡のサブディビジョンを設定する」を参照)。

D

ベクトルをゴーストの表示タイプとして設定する場合の速度ベクトルの大きさです。

E

任意のフレーム間隔でゴーストを表示します。

F

現在のフレームの前方または後方で表示されるゴーストにそれぞれカラーを設定します。

G

ローカルまたはグローバルの変換パラメータで設定したキーフレームに対してのみゴーストを表示します(キーレームでゴーストを描画するを参照)。

H

現在のフレームの前方または後方のキーフレームで表示されるゴーストにそれぞれカラーを設定します。チェインの FK/IK ブレンディングで FK/IK ゴースティングを使用する場合は、ここで FK と IK のゴーストの色を設定します(「FK/IK のブレンディングをゴースト表示する」(「キャラクタ アニメーション」)を参照)。

キーレームでゴーストを描画する

キーフレームでのみゴーストを描画すれば、オブジェクトのキーの位置をすばやく確認できます。ゴーストをオンに設定したキーを追加、削除すると、その変更はただちに反映され、ゴーストが更新されます。

キーフレームにおけるゴーストの描画は、オブジェクトのローカルまたはグローバルの変換パラメータで設定されたキーに対してのみ有効です。

特定の(スタティック)フレームでの静止状態のゴーストを描画する

ゴーストを表示するフレームを正確に指定できます。これにより、任意のフレームにおいてアニメーションの状態を確認できます。これらのゴーストはアニメーションの再生時も静止しているため、便利なプレイスホルダになります。ただし、オブジェクトのアニメーションを変更した場合は、その変更を反映してゴーストは更新されます。

ゴーストの表示タイプを選択する

アニメートされた各オブジェクトに対して、ゴースト形状の外観を指定することができます。既定で、オブジェクトのジオメトリがゴーストとして表示されます。

ゴーストをフェード アウトさせながら表示する、オブジェクトの前面にゴーストを表示するなどの表示タイプの設定には、[カメラ表示]プロパティ エディタで定義した現在の設定内容が使用されます。

  1. Explorer でオブジェクトの[表示/非表示]アイコンをクリックして、「[表示/非表示]プロパティ エディタ」(「プロパティ リファレンス」)を開きます。

  2. [アニメーション]エリアで、[ゴーストタイプ](Ghost Type)リストからオプションを選択します([オブジェクト](Object)[ポイント](Point)[ポーズ](Pose)[速度](Velocity)、および[軌跡](Trail)があります)。

    [ポイント](Point)[ポーズ](Pose)、および[速度](Velocity)表示タイプでは、各ゴースト フレームの他に現在の位置にもアイコンが表示されます。

     

     

    [オブジェクト](Objects)オプションで表示されたゴースト(ゴーストはオブジェクトのジオメトリとして描画されています)。

    [ポイント](Points)オプションで表示されたゴースト(ゴーストはオブジェクトのバウンディング ボックスのセンターを基準に点(小さな×印)として描画されています)。

     

     

    [ポーズ](Poses)オプションで表示されたゴースト(ゴーストはオブジェクトのバウンディング ボックスのセンターを基準にした変換軸として描画されています)。

    [軌跡](Trail)オプションで表示されたゴースト(各ゴーストに作成された点と点を接続した、滑らかなカーブが描画されています)。これはオブジェクトの軌道です。

     

     

    [速度](Velocity)オプションで表示されたゴースト(ゴーストは速度ベクトル(方向矢印)として描かれています)。

     
    ヒント:オブジェクトの速度を現在のフレームでのみ表示する場合は、[フレーム後]を 1 に、[フレームステップ]を 1,000 などの大きい値に設定してみてください。

軌跡のサブディビジョンを設定する

[軌跡]表示タイプで作成されたカーブは、ゴースト ポイント(ゴースト表示の点)から生成されています。カーブの描画に使用するサブディビジョンの数を増やせば、カーブの正確さは向上します。

  1. オブジェクトの[表示/非表示]プロパティ エディタで、[ゴーストタイプ]として[軌跡](Trail)を選択します。

  2. [カメラ表示]プロパティ エディタの[ゴースティング]ページで、[アニメーションゴースティング]領域の[軌跡のサブディビジョン](Trail Subdivisions)の数を設定します。

    軌跡は、最初と最後のゴースト フレームの間でゴースト フレームの数および[軌跡のサブディビジョン]値を使って一定の間隔でモーションをサンプリングし、描画されます。次に、サンプリングされたポイントを通過する滑らかなカーブが描画されます。設定値が高いほど軌跡は実際のモーションに近くなりますが、演算時間は長くなります。