Physical Sky(mia)(自然の空(mia))

 
 
 

| Render Tree の使い方

カテゴリ: 環境

シェーダ ファミリ: ボリューム

出力: カラー

[関連 mental ray シェーダ](Related mental ray shader): mia_physicalsky

このシェーダは、[Physical Sun(mia)(自然の太陽(mia))]シェーダと併用するように設計されており、本物に近い昼間をシミュレートし、昼間のシナリオを正確にレンダリングします。また、このシェーダを[Architectural(アーキテクチュラル)]シェーダと関連付けて使用することもできます。

自然の空シェーダは、大空を表現するカラー グラディエントを作成します。このカラー グラディエントは、ファイナル ギャザリングを使用してシーンをライティングするために使用されます。環境として使用すると、空をカメラに映し、反射させることもできます。

また、このシェーダは、モデルの下にある仮想地面も作成するため、ユーザはジオメトリを地平線までモデリングする必要はありません。仮想地面は、ビジュアルと地表からの反射の両方を備えています。

[Physical Sun]シェーダと[Physical Sky]シェーダにはいくつかの同じパラメータがあり、その機能は同じです。物理的な正確性を保つため、両方のシェーダでこれらのパラメータをお互いに同期させておく必要があります。[空のシェーダの初期化]プラグインを実行すると(以下を参照)、これらのパラメータは同期されたままになるように相互にリンクします。たとえば、太陽と空の「もや」の値が異なる場合、「本物らしさ」を確保できなくなります。最も重要な共通のパラメータは、シェーディングおよびカラー化モデル全体を操作するもの(もや、赤青シフト、彩度)です。

[Physical Sky]シェーダ セットアップを作成する

[Physical Sky]シェーダを適切に使用するには、いくつかのシェーダをセットアップする必要があります。[空のシェーダの初期化]プラグインを使用すると、必要なシェーダを自動的にセットアップすることができます。既存のライトを太陽として使用することも、プラグインで自動的に作成することもできます。

[空のシェーダの初期化]プラグインの使用

  1. [レンダ]ツールバーから[パス](Pass) [編集](Edit) [空のシェーダの初期化シェーダ](Initialize Sky Shader)を選択します。

  2. 表示されるダイアログ ボックスで、[Physical Sky]シェーダを適用するパスを選択します。

  3. リストからライト(太陽)を選択するか、自動的に作成します。

    新しいライトが位置コンストレイントとともに作成され、シーンのグローバル原点がヌルに設定されます。このライトがシェーダの方向をコントロールします。

    [新規ライトが生成された場合、ワールドの中心に向きを拘束](If creating new light, constrain direction to world center)オプションの選択を解除した場合は、コンストレイントなしでライトを作成することができます。

  4. [適用](Apply)ボタンをクリックすると、以下のようになります。

    • [Physical Sky]シェーダが、ユーザが選択したパスに環境シェーダとしてアタッチされます。

    • [レンズ上で露出シェーダを使用](Use exposure shader on lens)オプションを選択した場合は、[Photographic Exposure(mia)(写真露出(mia))]シェーダがパスのレンズ シェーダとして追加されます。このシェーダを使用すると、イメージが露出オーバーにならない(明るさが抑えられる)ように、適切なカンデラ/メートルのスケール係数を得ることができます。レンズ シェーダのシャッター時間値および F ストップ値を使用すると、イメージの輝度を調整できます。

      [Physical Sky]シェーダ パラメータを使用して輝度をより綿密にコントロールする場合や、別のレンズ シェーダを使用する場合は、レンズ シェーダが自動的に追加されないように、このオプションの選択を解除しておきます。また、このオプションをオフにすると、次の[Physical Sky]パラメータ値が自動的に設定されます。[乗数](Multiplier): 0.01、[RGB ユニット変換](RGB Unit Conversion): すべてのチャンネルで 0.001

    • [Physical Sun(mia)(自然の太陽(mia))]シェーダが、ユーザが選択したライトか自動的に作成されたライトにライト シェーダとしてアタッチされます。

    • これらの[Physical Sun]シェーダ パラメータは、エクスプレッションによって対応する[Physical Sky]パラメータ(乗数、RGB ユニット変換、もや、赤青シフト、彩度、地平線高さ)にリンクされます。つまり、[Physical Sky]シェーダでこれらのパラメータのいずれかの値を変更すると、[Physical Sun]シェーダの一致するパラメータ値もそれに応じて変更され、物理的な正確性が保たれます。

    ヒント:また、[[Display]プリファレンス]>[カラー マネージメント]で[カラープロファイル]を設定し、これらのシェーダを正しく表示できるようにする必要があります。イメージのレンダリングをより明るくするには、[レンダ領域](Render Regions)オプションまたは[レンダパスとプレビュー](Render Pass and Preview)オプションを選択します。

オン(On)

このシェーダをアクティブにします。

乗数(Multiplier)

光出力のスカラ乗数。デフォルト値は 1 です。

RGB ユニット変換(RGB Unit Conversion)

本物の測光単位以外に出力を変換します。この値が 1 1 1 の場合、mental ray シェーダ API 関数 [mi_sample_light](太陽光)および [mi_compute_avg_radiance](天空光)によって返される両方の値([mi_luminance] 関数を介した場合)は、測光値に数値的に一致します(単位は lux)。

大気外の太陽の強度は 127500 lux にキャリブレーションされるので、従来のレンダリング(通常、光の強度は 0~1)と比較すると、とても明るくなります。RGB ユニット変換パラメータは乗数として適用されるので、1 より小さな値(0.001 0.001 0.001 など)に設定し、lux 単位の数値をより管理しやすい値に変換する必要があります。

便宜上、内部的に 0 0 0 という値が設定されており、80000 lux(晴天の日のおよその光の総量)が従来の光レベル 1 に相当します。

もや(Haze)

空気中のもやの量を設定します。範囲は、0(まったくもやのない快晴の日)~15(どんよりした曇りまたは砂嵐のような天気)です。もやは、空および地平線の強度と色、太陽光の強度と色、太陽の影のぼかし、太陽の周辺の光のぼかし、および空気遠近法の強さに影響を与えます。

赤青シフト(Red Blue Shift)

光の赤みを調整します。既定値は 0(物理的に正確な値)ですが、このパラメータを使用して変更することができます。範囲は、-1(完全な青)~1(完全な赤)です。

彩度(Saturation)

彩度を調整します。物理的に計算された彩度レベルは 1 です。範囲は、0(黒白)~2(最高彩度)です。

地平線高さ(Horizon Height)

地平線のレベルを設定します。既定値 0 では地平線が標準的な高さになりますが、さまざまなレンダリング場所(山の頂上や高層ビルからの展望)に合わせるためにこの値を変更することもできます。

3D 空間では、地平線は特定の「高さ」にあるわけではありません。特定の角度より下に入るレイのシェーディング エフェクトに過ぎず、このパラメータを使用して変更することができます。範囲は-10(地平線が最も下にある)~10(地平線が天頂にある)ですが、小さい値の方が便利です。たとえば、-0.2 に設定すると、ある程度見えている地面の端のやや下に地平線が押し下げられます。

このパラメータは、自然の空シェーダの地平線のビジュアル表現だけでなく、自然の太陽そのものの色にも影響を与えます。

地平線ブラー(Horizon Blur)

地平線のブラーを設定します。この値が 0 の場合、地平線は完全に鋭角になります。通常は低い値(0.5 より低い値)が使用されますが、最大値は 10(ブラーのみで構成され、実際の地平線が存在しなくなる)です。

地面カラー(Ground Color)

仮想地面の色。これは拡散反射光反射値(アルベド)です。この色の地面は、Lambertian リフレクタのように見えます。太陽と空のみから光を受け、影はまったく当たっていません。

夜カラー(Night Color)

可能な限り暗くできる空の色の最大値。このパラメータは、日没後も光を放つ月、星、上層巻雲などのエレメントを追加する場合に便利です。日が沈み、空が暗くなっても、このパラメータの効果は変わらず、基本の光レベルのままとなります。

以下の太陽のパラメータは目に見える結果(カメラに映るものや、反射または屈折で見えるもの)に影響を与えますが、ファイナル ギャザリングの結果には影響を与えません。これは、自然の空シェーダがレイを異なる方法で扱うためです。カメラからの直接光では、反射光および屈折光と同様、太陽のパラメータを含め、「全体的な」空エフェクトが見えます。ところが、ライティングには太陽を表す直接光がすでにあるため([Physical Sun(mia)(自然の太陽(mia))]シェーダを使用した場合)、ファイナル ギャザリング レイでは日輪が見えません。

太陽の方向(Sun Direction)

日輪の方向。

日輪強度(Sun Disk Intensity)

目に見える日輪の強度。太陽の外観を調整するために使用します。

日輪スケール(Sun Disk Scale)

目に見える日輪のサイズを設定します。値 1 が物理的に正確な値ですが、既定値 4 が最も本物に近いサイズになります。

太陽のグロー強度(Sun Glow Intensity)

目に見える日輪のグローの強度。太陽の外観を調整するために使用します。

背景使用(Use Background)

このオプションがオンになっていて背景が設定されていない場合、レンダリングの背景は透明な黒になります(外部合成に最適)。背景シェーダがある場合は、レンダリングの背景はそのシェーダのものとなります(たとえば、実際の場所の背景写真をルックアップするテクスチャ シェーダ)。どちらの場合も、自然の空シェーダの結果は反射および屈折で見えたままになります。

明視距離(Visibility Distance)

空気遠近法をエミュレートします。「空気遠近法」とは画家の専門用語で、物体の遠近感を、そのぼやかし方や、スペクトラムの青の終わりの近くの色に色付けることによって表す手法です。

このパラメータをゼロ以外の値に設定すると、「10% の距離」という定義になります。つまり、もやのレベル 0 で、およそ 10% のもやが見える距離です。

このエフェクトを使用するには、自然の空シェーダをレンズまたはカメラのボリューム シェーダとして適用する必要があります。

ほとんどの場合、この値を大幅に増加させる必要があります。既定値の 1 ではほとんどのシーンに低すぎます。

Render Tree の使い方

このシェーダは、Physical Sun(mia)(自然の太陽(mia))というシェーダと併用するように設計されています。また、このシェーダをArchitectural(アーキテクチュラル)というシェーダと関連付けて使用することもできます。

このシェーダはマテリアル ノードの[Environment]ポートにのみ接続することができ、これによってオブジェクトの環境マップを作成できます。また、このシェーダはシーンのパス環境シェーダとしても使用され、[Physical Sun]シェーダは太陽を表すディレクショナル ライトに適用されます。さらに、[Photographic Exposure(mia)(写真露出(mia))]シェーダをシーンのパス レンズ シェーダとして接続することもできます。

環境シェーダは、ファイナル ギャザリングを使用してシーンを照らすために使用されます。太陽からの反射光は、反射したファイナル ギャザリングのディフューズ ライトか、グローバル イルミネーション(フォトン)によって処理されます。