エイリアシングとは、シーンをピクセルで正確に表現するのに十分なサンプリングが実行されていない場合に、レンダリング後の 3D イメージで発生するアーティファクトを指します。エイリアシングはイメージのサイズよりもコントラストやイメージのディテールに影響されるため、解像度を問わず発生する可能性があります。主なエイリアシングのアーティファクトの 1 つが、レンダリングされたオブジェクト上の「ジャギー(ギザギザのエッジ)」です(下図を参照)。特にエッジがカーブしていたり斜めになったりしている場所で見られます。
上のイメージはいずれも右のモデルをレンダリングしたものです。最初のイメージ(A)はアンチエイリアシングを使用せずにレンダリングされています。球のサーフェイスに沿って、エッジがギザギザになっています(エイリアシング)。2 番目のイメージ(B)にはアンチエイリアシングが使用されています。球のジオメトリに変化はなく、より滑らかなカーブになっています。
もう 1 つの主なエイリアシングのアーティファクトは、「ポッピング」です。これはオブジェクトまたはその一部が小さすぎて、サンプリング レイの間に間欠的に入り込んでしまう場合に発生します。結果として、シーンを移動する際に、そのオブジェクトが「ポップ イン」(突然出現)したり「ポップ アウト」(突然消失)したりします。ディテールの細かいテクスチャまたはサーフェイスの遠くにある領域で、チラチラと揺らめくエフェクトを作成するモアレ パターンも、また別の主なアーティファクトです。
エイリアシングは、アンチエイリアシングによって視覚的に抑えることができます。アンチエイリアシングは、粗くジャギーなイメージのエッジ、およびその他のエイリアシングのアーティファクトを滑らかにし、洗練された外観を作り出します。アンチエイリアシングでは、各ピクセルをサブサンプリングし、隣り合うサンプルの値を平均化して最終的なピクセルのカラーを取得する数学的プロセスが使用されます。サンプル間の差異が、定義済みのしきい値を超えた場合は、追加のサンプリングが発生します。これらの計算が行われる結果、アンチエイリアシングによってレンダリング時間が大幅に増大する場合があります。
エイリアシングを制御するためのオプションは、[統一されたサンプリング](Unified Sampling)が有効であるかどうかによって異なります。
Render Manager > mental ray(グローバル レンダラ)
Render Manager >[パスを展開](expand a pass)> mental ray
Tab: レンダリング[プロパティ リファレンス]
オプション: サンプリング/エイリアシング
統一されたサンプリングにより、すべてのレンダリング アルゴリズムに対して簡単で一貫性のある制御を実行できます。[品質](Quality)は、ピクセルごとの取得サンプル数を制御するメイン パラメータです。これは相対測定です。領域のエラーが多くなると、取得されるサンプル数が増えます。標準値は 0~1 ですが、より大きな値を使用することも可能です。
ピクセルに対して取得されるサンプルの数は、常に[最小](Minimum)と[最大](Maximum)の間の数です。この範囲内の正確な値は、主に[品質](Quality)により決定されます。[最大](Maximum)の値を大きくすると、オーバーサンプリングが可能になります。また、この値を小さくすると、[品質](Quality)の設定に到達しなくなることがあります。[最小](Minimum)の値を 1 未満に設定すると、アンダーサンプリングが可能になります。
また、[切捨て](Cutoff)を設定して、サンプル レベルの間の差が切捨て値より小さい場合、[品質](Quality)または[最大](Maximum)により設定されるサンプル数にまだ達していなくても、それ以上のサンプルの取得を止めることができます。これは、詳細で明るい領域の品質に影響を与えずに、フラットで暗い領域のパフォーマンスを向上させるのに役立ちます。
[統一されたサンプリング](Unified Sampling)がオフになっている場合、各アルゴリズムに古いサンプリング メソッドが使用されます。結果を制御するには、[エイリアシング(レイトレース&スキャンラインのみ)](Aliasing (Raytracing & Scanline Only))および[サンプリング コントラスト](Sampling Contrast)設定を使用します。
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Render Manager >[パスを展開](expand a pass)> mental ray
Tab: レンダリング[プロパティ リファレンス]
オプション: エイリアシング(レイトレース&スキャンラインのみ)
このパラメータで定義した数のサンプルが採集されます。周囲のカラー値と比較して平均化されたピクセル カラーが定義されます。
サンプリングは、主に[最小レベル](Min Level)および[最大レベル](Max Level)スライダで制御します。これらのオプションによって、サンプル レートの最小値および最大値が決まります。各ピクセルは最低 2^min×2^min 回、最高 2^max×2^max 回サンプリングされます(各方向で 2^n)。
[最小レベル]がゼロの場合、各ピクセルは最低 1 回サンプリングされます。正の値を指定するとサンプル レートが増加し、負の値を指定するとサンプルレートが減少します。負の値の場合、ピクセルごとの初期サンプリングが 1 回未満になることもあります(インフラサンプリングと呼ばれます)。 たとえば、[最小レベル]を 1 に設定すると各ピクセルが最低 4 回サンプリングされ、[最小レベル]を -1 に設定すると 4 ピクセルごとに最低 1 回のサンプリングが行われます(2×2 ピクセルの正方形)。
[最大レベル]の値を、[最小レベル]の値に 2 を足したもの以上にすることをお勧めします。その差を 3 より多くしないようにしてください。この制約によって必要なメモリ量が制限され、パフォーマンスが最適化されます。
[最小レベル]および[最大レベル]の一般的な値は、プレビュー レンダリングの質を低くする場合は -2/0、レンダリングの質を中程度にする場合は -1/1、レンダリングの質を高くする場合は 0/2 または 1/3 です。
[最小レベル]および[最大レベル]オプションは、厳密なサンプリング制約を設定する場合のみ使用してください。これらのオプションを使用すると、レンダリングの質を簡単に制御できます。レンダリングの質をより細かく制御するには、コントラストが高い場合もより適切な処理を行う[サンプリング コントラスト]を使用します。[最小レベル]および[最大レベル]を使用するテクニックでは、ハード カットオフによりエイリアシングが残る場合があります。
詳細については、「アンチエイリアス、サンプリング、フィルタリングのためのヒントとコツ」を参照してください。
Render Manager > mental ray(グローバル レンダラ)
Render Manager >[パスを展開](expand a pass)> mental ray
タブ: レンダリング(「プロパティ リファレンス」)
オプション: ラスタライザ
[サンプリング コントラスト](Sampling Contrast)スライダを使用すると、アダプティブ サンプリングを制御できます。これは、イメージ品質制御を行うための主要な方法です。隣接するサンプルとの相違がサンプリング コントラスト値以上の場合、別のレベルのサンプリングが発生します。
各カラー(R、G、B)の値が小さいほど、レンダリング イメージとサンプリング コントラスト設定とのコントラストのギャップを小さくするためにサンプリング量が多くなり、アンチエイリアシングはより滑らかになります。
これによってレンダリング時間が長くなることがあるため、以下のガイドラインに従ってサンプリング コントラスト設定を調整してください。
コントラストの低い領域でエイリアシングのアーティファクトが表示され、コントラストの高い領域では表示されない場合は、サンプリング コントラスト値を下げてください。
エイリアシングのアーティファクトが表示されない場合は、サンプリング コントラスト値を上げてください。これにより、サンプルの総数が少なくなり、レンダリング時間が短縮されます。
詳細については、「アンチエイリアス、サンプリング、フィルタリングのためのヒントとコツ」を参照してください。