パーティクルの質量は、パーティクルが持つ物質の量を定義します。この質量により、適用されたフォース(重力を除く)に対してどの程度すばやく反応するかや、障害物との衝突でどのように反応するかが決まります。パーティクルの質量が増えるほど、そのモーションを変更するのは難しくなります。そのため、パーティクルの動きを変化させるには、パーティクルが軽い場合より重い場合の方がより強いフォースを適用する必要があります。質量の高いパーティクルは、フォースを適用するときの速度を保持する傾向にあります。
(上)質量 0.1、風速 15、重力 -9 のパーティクル。
(上)質量 1.1で、風速と重力の値が同じパーティクル。同じ動作を高い質量で維持するには、強い風速が必要です。
質量は、フォースを使用したシミュレーションでのパーティクルの動作を設定するキーとなります。次の点に注意してください。
[Simulate Particles]ノードは、パーティクルの位置にフォースを適用するときに、パーティクルの質量を考慮します。
ただし、重力は、質量にかかわらずすべてのオブジェクトで同じであるため、他のフォースとは少し異なります。質量の異なるオブジェクトは、空気抵抗(ドラッグ)がない場合、同じ速度で落下します。たとえば、ボウリングのボールと野球の球ビーチボールを同じ高さから落とした場合、両方とも同じ時間に地面に当たります。
ただし、空気抵抗や摩擦、その他のフォースが発生した場合やオブジェクト同士が衝突した場合には重力は一定でなくなり、オブジェクトの質量、エネルギー、および運動量によって大きな影響を受けます。重力は、シミュレートされたオブジェクトを、質量に基づいて移動します。また、オブジェクトの質量に直接比例します。オブジェクトの質量が増えるほど、適用される重力は強くなります。
速度は測定速度であり、質量とは関係ありませんが、フォースはパーティクル速度(加速度)を変更するためにパーティクルに適用されるベクトルであり、フォースが適用された場合は、質量が考慮されます(加速度=フォース/質量)。
ドラッグは、速度(およびサイズ)に比例するフォースですが、フォースがオブジェクトを減速させる度合いは質量に応じて異なります。つまり、オブジェクトが重くなると運動量も大きくなるため、減速度が下がります。ただし、ドラッグフォースには、質量に関わらずフォースを生成するオプション([Simple Velocity Based])があります。物理的に正確なシミュレーションを作成しようとしている場合以外に使用できます。
重力、ドラッグ、およびその他のフォースの詳細については、「ICEフォースコンパウンドのタイプ」を参照してください。
パーティクルの質量を定義するためのパーティクルの属性には、[Init_Mass]と[Mass]の2つがあります。これらの属性は、このセクションで説明されているように複数のコンパウンドで使用されますが、ICE パーティクル属性を使用するで説明されているように、[Get Data]および[Set Data]ノードで指定してICEツリーで単独で使用することもできます。
属性全般の詳細については、「ICE 属性」を参照してください。
パーティクル放出を作成します。「基本的なパーティクル放出の作成」を参照してください。
[Emit]コンパウンドのプロパティエディタを開き、[Mass(質量)]パラメータの値(キログラム(kg)単位)を設定します。デフォルト値は 0.1 です。
パーティクルに質量が定義されていない場合、ICEツリーは質量が1のときと同じように動作します。それ以外の場合は、フォースにはなんの効果もありません。ニュートン物理学では、質量は物質の測定です。質量が0の物質は存在しないので、フォースにはなんの効果もありません。
放出コンパウンドは、デフォルトでパーティクルの質量を0.1に設定します。そのため、これらのコンパウンドのみを使用している場合は、フォースは常に影響されます。ただし、質量の値が物理的に正確でなくても、独自のパーティクル制御システムを設定したい場合は、ベースノードを自由に接続して行うことができます。たとえば、質量を考慮しないでパーティクルの速度を下げる(質量が定義されていることを想定)場合は、[PointVelocity]を直接設定できます。
パーティクルがすべてフォースに同じように反応しないように、質量の値をランダマイズすることができます。ランダマイズしたりノイズを追加すると、特定のタイプのエフェクトで、パーティクルがより自然に見えるようになります。
パーティクルのサイズを変化させている場合は、同じコンパウンドと値を使用してパーティクルの質量も変化させることもできます。フォースが適用され、パーティクルがサイズの変化に対して適切に動作するようになります。
パーティクル放出を作成します。「基本的なパーティクル放出の作成」を参照してください。
[ICE]ツールバーから[パーティクル](Particles) [エミッション時](On Emission) [質量のランダマイズ](Randomize Mass)コマンドを選択します。
このコマンドは[Randomize Around Value]コンパウンドをICEツリーに追加し、放出コンパウンドの[Mass]ポートに接続します。
[Randomize Around Value(値を中心としたランダマイズ)]プロパティエディタで、ランダム値の平均(基本)値を設定します。この値からの差に応じて、ランダマイズが行われます。
[タスク]>[Particles]タブには、質量値にランダムさや乱流(ノイズ)を追加するための他のコンパウンドもいくつかあります。詳細については、「パーティクルの値をランダマイズする」を参照してください。