マージとクローン

 
 
 

マージとクローンはいずれも、イメージのピクセルをペイント カラーとして使用するペイント方法です。

ペイント ブラシ リストの Brushes カテゴリにマージ ブラシとクローン ブラシがあり、これらのブラシでソース イメージをペイント カラーとして使用して、ストロークおよびラインをペイントできます。カラーシェイプのアウトラインおよびフィルを使用してマージおよびクローンを行うこともできます。

ブラシ オフセットの設定

クローン ブラシを使用してペイントする場合は、ブラシ オフセットを使用すると結果だけが表示されます。オフセットとは、ペイントを行う領域から、実際にペイントが開始される領域までの距離を指します。

ブラシ オフセットは[マージ]ブラシを使ってペイントする場合によく使用されますが、必須ではありません。ブラシ オフセットを使用したマージは、特に、マージ ソース イメージと適用先イメージが同じサイズでないときに役立ちます。

ソースと適用先でカーソルを両方同時にイメージ上のどこかに置くことができれば、ブラシはあらゆる方向にあらゆる距離でオフセットできます。

ブラシ オフセットを設定するには

  1. Fx Viewer でラスター ペイント クリップまたはベクトル ペイント オペレータを編集します(「ペイント オペレータを編集、プレビューする」を参照)。

  2. FX ペイント ブラシ リストで、オフセット ペイントをサポートしているブラシ(マージ ブラシ、クローン ブラシなど)を選択します。[B]キーを押してペイント ブラシ ツールをアクティブにします。

  3. ブラシ カーソルをマージまたはクローンのソースとして使用するイメージの一部分に置き、[Alt]キーを押しながらイメージ上をクリックします。

  4. [Alt]キーを離し、ペイント カーソルを最初にクリックした位置から、設定するオフセットの距離だけ移動します。

    • [クローン]ブラシを使用している場合、2 つのペイント カーソルがラインでつながれて表示されるようになります。1 つはソース位置に、もう 1 つは別のカラーで、適用先の位置に表示されます。

      A

      マージ/クローンのソースのカーソル。ブラシ ストロークは、この位置のカラーを使用してペイントされます。

      B

      適用先のカーソル。ソースのカーソルのカラーがこの位置にペイントされます。

    • [マージ]ブラシを使用している場合、指定されたオフセットに応じてマージ ソース イメージが Fx Viewer に再配置されます。ペイント カーソルは 1 つだけ可視になります。オフセットは、合成表示モードでのみ可視になります。合成表示モードは、[Fx Viewer]ツールバーで[ソースをマージし合成表示のペイント](Display Mix with Merge Source)ボタンをクリックしてアクティブにすることができます(詳細については、「ビューア内のイメージをミックスする」を参照)。

      [マージ]ボタンがアクティブになると、ブラシ オフセットは合成表示モードでのみ可視になります。

      ここで、ブラシ オフセットは上記のクローン サンプルと同じものです。ソースおよび適用先イメージがブレンドされたのを確認できます。

      イメージどうしが重なり合う領域は「マージ可能」領域です。

      A

      ソース イメージ

      B

      マージ カーソル

      C

      適用先イメージ

  5. [Alt]キーを押しながらイメージをもう 1 度クリックし、ブラシ オフセットを設定します。

    ヒント:ブラシ オフセットは、[Brush]プロパティ エディタでも設定できます。[2]キーを押してプロパティ エディタを開き、[プロファイル]タブで[オフセットのマージ](Merge)/[クローン](Clone Offset) [X]および[Y]の値を調整します。これは、ブラシ オフセットをリセットする場合に特に役立ちます。
    注:Linux では、[Alt]キーを押しながらクリックする操作が機能しないことがあります。これは、お使いのウィンドウ マネージャでその組み合わせが別の用途に使用されているためです。その場合は、ウィンドウ マネージャで別のキーの組み合わせを使用するように修正します。詳細については、「Linux システムでの[Alt]キー」(「Basics(基本)」)、またはお使いのウィンドウ マネージャのマニュアルを参照してください。

時間オフセットの設定(マージのみ)

マージ用にブラシオフ セットを設定できるとともに、タイムオフセットを設定することもできます。これにより、ピクセルを同一シーケンスのフレーム間で、または別のシーケンスまたはイメージにペイントできます。

マージ用にタイム オフセットを設定するには

  1. Fx Viewer でラスター ペイント クリップまたはベクトル ペイント オペレータを編集します(「ペイント オペレータを編集、プレビューする」を参照)。

  2. [2]キーを押して[Brush]プロパティ エディタを開き、[プロファイル]タブで[オフセットのマージ](Merge)/[クローン](Clone Offset) [時間でオフセット](Offset in Time value)の値を調整します。

    正の値を設定すると、マージ ソースの後方(現在のフレームよりも後方)のフレームからペイントできます。負の値を設定すると、マージ ソースの前方(現在のフレームよりも前方)のフレームからペイントできます。たとえば、現在のフレームがフレーム 19 で、オフセット値が [-1] の場合、[マージブラシ]でペイントすると、マージ ソースのフレーム 18 が適用先イメージにペイントされます。値が [0] の場合、タイム オフセットは存在しません。

マージ

マージは、別のイメージのピクセルをペイント カラーとして使用して、イメージ上にペイントする処理です。これは、線などの不要なエレメントをイメージから消すようなペイントを行う場合に便利です。また、次の例の雲のように、イメージに新しいエレメントをペイントする場合にも役立ちます。

   

マージ ソース

適用先イメージ

この例では、雲のイメージがマージ ソースとして設定され、下図に示すように花畑のイメージにペイントされています。

この図では、同じマージ ソースがペイントされていますが、ブラシ オフセットは図示されたものが使用されています。その結果、ソース イメージの下部にある濃い雲(A)が適用先(B)イメージの上部にペイントされています。

マージ ソースからペイントするには

  1. ペイントするラスター ペイント クリップまたはベクトル ペイント オペレータを編集します(「ペイント オペレータを編集、プレビューする」を参照)。

  2. Fx Tree で、マージ ソースとして使用するオペレータを右クリックし、メニューから[ペイントマージソースとして使用](Use as Paint Merge Source)を選択します。このオペレータがマージ ソースになります。

  3. [FX ブラシ セレクタ]でマージ ブラシを選択します。必要に応じて、ブラシのプロパティを編集します(「ペイント ブラシプロパティの設定」を参照)。

    ヒント:マージするときに、ブラシの半径を小さくすることもできます。半径を小さくすると、より精密な作業が可能になります。ブラシの半径をすばやく変更するには、角括弧([および])キーを使用します。
  4. [Fx Viewer]ツールバーの[ソースをマージし合成表示のペイント](Display Mix with Merge Source)ボタンをクリックします。

    ビューアには、適用先イメージとマージ ソースが、指定した割合でブレンドされて表示されます。これにより、ペイント内容の確認、および正確なブラシ オフセットの設定が可能になります。

    この図は、マージ ソースと適用先イメージを合成して表示したものです。

    ヒント:前景/背景の合成を調整するには、Fx Viewerのメニューから[表示](View) [ビューア設定](Viewer Preferences)を選択して[Fx Viewer Settings]プロパティエディタを開きます。必要に応じて[前景/背景表示の合成](FG/BG Display Mix)の値を調整します。この値が大きいほど、マージ ソースは適用先イメージにより深くブレンドされます。
  5. 必要に応じて、ブラシ オフセットを設定します(「ブラシ オフセットの設定」を参照)。

  6. ストロークをペイントする任意のペイント ツールを使用してイメージ上にペイントします。以下のペイント ツールを使用できます。

クローン

クローンは、同じイメージのピクセルをペイント カラーとして使用して、イメージ上にペイントする処理です。次の例に示すように、イメージ内のエレメントを複製する場合に便利です。また、不要なエレメントを塗りつぶす場合にも役立ちます。たとえば、隣接したピクセルを使用して塗りつぶして、澄んだ青空のイメージから不要な電線を消すことができます。

   

この例では、トランペット奏者とその影のクローンをフレームの左側に作成しています。

イメージの一部のクローンを作成するには

  1. ペイントするラスター ペイント クリップまたはベクトル ペイント オペレータを編集します(「ペイント オペレータを編集、プレビューする」を参照)。

  2. FX ブラシ セレクタでクローン ブラシを選択します。必要に応じて、ブラシのプロパティを編集します(「ペイント ブラシプロパティの設定」を参照)。

    ヒント:マージするときに、ブラシの半径を小さくすることもできます。半径を小さくすると、より精密な作業が可能になります。ブラシの半径をすばやく変更するには、角括弧([および])キーを使用します。
  3. ブラシ オフセットを設定します(「ブラシ オフセットの設定」を参照)。

  4. ストロークをペイントする任意のペイント ツールを使用してイメージ上にペイントします。以下のペイント ツールを使用できます。

カラー シェイプを使用したマージとクローン

マージ ソースを使用して、ラスター ペイント クリップおよびベクトル ペイント オペレータで描画したカラー シェイプのアウトラインやフィルを作成できます。カラー シェイプの描画の詳細については、「新規シェイプのプロパティを設定する」を参照してください。

  • マージまたはクローン ブラシを使用してシェイプ アウトラインを描画すると、アウトラインはマージ ソースまたは現在のイメージから、指定されたオフセットに従ってそれぞれペイントされます。

  • ベクトル ペイント オペレータでは、カラー シェイプのプロパティを編集して、カラー シェイプにマージ ソースが表示されるようにしたり、現在のイメージがストローク、フィル、あるいはその両方に表示されるようにしたりできます。ストロークにはブラシ プロパティで指定したブラシ オフセットの値が使用されますが、フィルには個別のオフセット コントロールがあります。

注:カラー シェイプを使用したマージで最良の結果を得るためには、シェイプをペイントする前にマージ ソースを設定してください。こうすることで、シェイプのストロークとフィルが希望のソース イメージから確実にマージされます。

カラー シェイプを使用してマージまたはクローンを行うには

  1. マージまたはクローンを適用するシェイプが含まれているベクトル ペイント オペレータを編集します(「ペイント オペレータを編集、プレビューする」を参照)。

  2. 任意のベクトル ペイント オペレータのカラー シェイプを選択し(「Fx Viewer でシェイプを選択するには」を参照)、[Enter]キーを押してプロパティ エディタを開きます。

  3. シェイプ フィルを使用してマージ/クローンを行うには、ColorShapeページの[シェイプ]タブに移動して、[フィル](Fill) [スタイル](Style)リストから次のいずれかを選択します。

    • [マージ](Merge): マージ ソースをシェイプのフィルとして使用します。

      または

    • [リビール](Reveal): 現在のイメージをシェイプのフィルとして使用します。この設定では、現在のイメージはそれを遮るシェイプを透過して表示され、イメージをオフセットできます。これは[なし](None)の設定とは異なります。[なし]の場合はシェイプにはフィルは一切作成されません。

  4. ストロークを使用してマージまたはクローンを行うには、ブラシ ページの[ペイント ブラシ ツール]タブに移動して、[入力](Input)を次のいずれかに設定します。

    • [ソースのマージ](Merge Source): マージ ソースをシェイプのアウトライン カラーとして使用します。

      または

    • [現在のレイヤ](Current Layer): 現在のイメージをシェイプのアウトライン カラーとして使用します。

      結果は、クローン ブラシを使用してアウトラインを描画した場合と同じになります。

  5. シェイプのフィルの中のマージ ソースまたは現在のイメージをオフセットするには、[変換]タブの[ソースのマージ](Merge Source) [X]/[Y]の値を調整します。