どのようなタイプのアニメーション作業であっても、そのタイミング調整をどこかの段階で行う必要があるはずです。[リタイム](Retime Keys)ツールを使用することで、F カーブそのものに、タイミング調整が直接行えます。リタイムするカーブのセグメントにマーカーを作成し、マーカーをドラッグすることでセグメント間のアニメーションのタメ・ツメが行えます。 これを、タイムワーピングとも言います。
たとえば、[リタイム](Retime Keys)ツールを使用して、アニメーションのキーとなるポーズのタイミングを大まかに決め、タイミングの微調整を行うことで理想的なアニメーションに仕上げることが可能です。また、オーディオ トラックの音素とキャラクタのリップシンクのタイミングをマッチさせることもできるでしょう。
オブジェクトの F カーブのアニメーションは一度に複数の(たとえばキャラクタ全体など)リタイムが行えます。
また、補間(スプライン、リニア、またはステップ)といったどのタイプの F カーブに対してもアニメーションのリタイムが行えます。
同様のリタイムツールは、他の Autodesk 3D アプリケーションでもサポートされています。
Softimage での、他のアニメーションのリタイミング方法については、「Fカーブ キーと領域をスケーリングする」、「高密度 F カーブ(HLE)のシェイプを作成する」、ドープシートの「キーの領域をスケーリングする」、「F カーブ アニメーションのオフセットまたはリタイミングをスケーリングする」、および Animation Mixer の「タイム リレーションシップ(タイムワープ)を変更する」を参照してください。
アニメーションをリタイムするには、最初に、リタイム マーカーを作成します。
1 つまたは複数のオブジェクトを選択またはブランチ選択して、オブジェクトの F カーブを F カーブ エディタに表示します。たとえば、キャラクタ全体の F カーブをリタイムするには、親オブジェクトをブランチ選択して、その子の F カーブをすべて表示します。
アニメーション エディタの Explorer で、リタイムする F カーブのパラメータを選択します。
カーブが選択されていない場合、[リタイム](Retime Keys)ツールは、グラフに現在表示されているすべてのカーブに影響します。
[編集](Edit) [トランスフォームツール](Transformation Tools) [リタイムツール](Retime Keys Tool)を選択するか、F カーブ エディタ ツールバーの[リタイム](Retime Keys)アイコンをクリックすると、リタイム ツールがアクティブになります。
グラフ内のリタイム マーカーを作成するフレームをダブルクリックします。黄色のリタイム マーカーが、ダブルクリックするたびに追加されます。
フレーム上を正確にダブルクリックしなかった場合、新しいリタイム マーカーが、最も近いフレームにスナップされます。フレームに既にリタイム マーカーがある場合、マーカーは追加されません。
ダブルクリックの 2 回目のクリックの後にマウスを押したままにしておくと、キーをリタイミングせずに、マーカーを目的の位置に正確に動かすことができます。
[リタイム](Retime Keys)ツールを終了するには、[Esc]を押すか、他のツールを選択するか、[リタイム](Retime Keys)アイコンまたはコマンドを再度選択します。
ツールの終了後、リタイム マーカーがグラフから除去され、その位置はメモリに保持されません。
ただし、次回[リタイム](Retime Keys)を有効にした時のためにこのデータを保持しておきたい場合は、[F カーブ エディタ基本設定](Fcurve Editor Preferences)の[リタイム ツール](Retime Tool)タブで[リタイム ツールの終了時にリタイム マーカーをクリア](Clear Retime Markers when Exiting Retime Tool)オプションを選択解除します。
A |
実線のスパンは、いずれかのリタイム マーカーをドラッグすると、このマーカーと次のマーカーとの間のアニメーションの尺度が変更されることを示しています。 |
B |
破線は、このセグメントのアニメーションが、リタイム マーカーの調整に合わせて時間の外側に広がっていくことを示します。 |
C |
グラフのこの選択部分にカーブを追加するか、この部分からカーブを除去するには、Explorer でパラメータ名を選択します。[リタイム](Retime Keys)ツールが有効な場合、グラフ内でカーブを直接選択または選択解除することはできません。 追加されたカーブは、リタイム マーカーを次に動かすとその影響を受けます。 |
D |
リタイム マーカー間のアニメーションをスケーリングするには、リタイム マーカーの太くなっている真ん中の部分をドラッグします。以下の、「リタイム マーカー間のアニメーションをリタイムする」を参照してください。 |
E |
タイミングを調整せずにリタイム マーカーを動かすには、マーカーの細くなっている上部または下部をドラッグします。 また、[Ctrl]+ 右矢印キーと[Ctrl]+ 左矢印キーを押して、選択したマーカーを 1 フレーム前後に動かすことができます。 |
F |
マーカーを選択するには、この場所のどこかを選択します。[Shift]を押しながらクリックして複数のマーカーを選択するか、[Ctrl]を押しながらクリックして、選択を切り替えます。 |
G |
リタイム マーカーを削除するには、マーカーをダブルクリックするか、マーカーの下部にある削除アイコン(x)をクリックします。 |
リタイム マーカーを作成またはドラッグする際に、最も近いフレームにスナップします。
このスナップを一時的に優先するには、リタイム マーカーをドラッグしながら[Shift]を押します。
デフォルトのスナップ動作を設定するには、[F カーブ エディタ基本設定](Fcurve Editor Preferences)の[リタイム マーカーをフレームにスナップ](Snap Retime Markers on Frame)オプションを切り替えます。
リタイム マーカーを使用してアニメーションのセグメントをマークすると、リタイム マーカーの太くなっている部分を左右にドラッグすることにより、そのセグメントをリタイム(スケーリング)できます。
リタイム マーカーをドラッグすると、そのマーカーがある、選択したいずれかのカーブ(または、選択されていない場合はすべてのカーブ)のキーも合わせてドラッグされます。カーブのリタイミングは、イーズ インやイーズ アウトが付加されないよう、リニアな方法で行われます。カーブがスプライン タイプの場合、そのスロープは、適切な補間が維持されるよう自動的に再計算されます。
以下のイメージでは、2 つのリタイム マーカー(A)が、リタイミングがこのエリア内に含まれ、アニメーションがその範囲外にシフトしないよう「アンカー キー」にセットされています。もちろん、リタイム マーカーはいくつでも作成でき、好きなように配置できます。
マーカー間のアニメーションをゆっくりにするには、マーカーがさらに離れるようドラッグします。以下のイメージでは、C の F カーブ セグメントは、選択したマーカー(B)が右にドラッグされたため引き伸ばされています。
マーカー間のアニメーションを速くするには、マーカーを近づけるようにドラッグします。以下のイメージでは、D の F カーブ セグメントは、選択したマーカー(B)が右にドラッグされたため押しつぶされています。
[リタイム](Retime Keys)ツールを使用して、アニメーションを尺度変更せずに簡単にシフトできます。たとえば、キャラクタ全体またはシーン全体のアニメーションを、すべて 1 度にシフトできます。
すべてのアニメーションを、尺度変更せずに単一ポイントからシフトするには、マーカーを 1 つ作成して、いずれかの方向にドラッグします。
リタイム マーカー間のアニメーションを、尺度変更せずにシフトするには、タイム スパンをロック(以下の「リタイム マーカー間のアニメーションをロックする」を参照)し、マーカーを目的の方向にドラッグします。ロックされたスパン(A)の F カーブ セグメントがシフトし、ロックされていないスパン(B)の F カーブ セグメントの尺度が変更されます。
同様の方法で、アニメーションをロックされたタイム スパンにシフトするには、[Shift]を押して複数のマーカーを選択してから、1 つのマーカーを動かして、選択したすべてを 1 つの単位として動かします。選択したリタイム マーカーは、順番が連続している必要はありません。
デフォルトでは、リタイム マーカーのドラッグ時にリプリングは有効になっています。リプリングで、リタイム マーカーの外側のアニメーションを、尺度変更せずに、合わせて前後にシフトできます。
リプリングを使用してのリタイミングは、シーンのタイムラインの開始および終了位置外にアニメーションを押し出す可能性があることに注意してください。アニメーションが押し出された場合、タイムライン範囲の外にあるアニメーションは、F カーブ エディタの両端の暗いグレーのエリアに表示されますが、再生されません。アニメーションのこの部分を含める場合、シーンのフレーム範囲を増やす必要があります。
リタイム マーカーの外側の破線を右クリックして、[リプル](Ripple)オプションを選択解除します。リタイム マーカーの両側でリプリングがオフになります。
リプリングをオフにしてリタイム マーカーをドラッグすると、リタイム マーカーとカーブの前後のキーとの間の F カーブ セグメントの尺度が変更されます。
このイメージでは、リタイム マーカーの右にある F カーブ セグメントは、マーカーを右に動かすにつれて、次のキーまで押しつぶされます。
[編集](Edit) [リプル](Ripple)を選択するか、F カーブ エディタのツールバーの[リプル](Ripple)アイコンをクリックします。
タイム スパンをロックすると、リタイム マーカーをドラッグして、そのスパン内の F カーブ セグメントを尺度変更せずに動かすことができます。タイム スパンをロックすると、アニメーションの特定のセグメントを、変更したくないその他のセグメントを保持したまま、リタイムできます。また、ロックしたセグメントを、ポーズ ツー ポーズ アニメーションのようにポーズの周りを簡単にシフトするために使用できます。
タイム スパンをロックするには、右クリックして[ロック](Locked)オプションを選択します。ロック アイコンがスパン上に表示されます。
キーを使用してリタイミングの変更をアンカーする場合、リタイム マーカーの位置に簡単にキーを追加できます。キーを追加すると、そのポイントでカーブのシェイプを変更でき、リタイミングの動作が変化します。
キーを挿入するには、リタイム マーカーで右クリックし、[マーカーの位置にキー](Key at Marker)を選択します。
リタイム マーカーが位置しているフレームの選択した F カーブそれぞれにキーが挿入されます。
カーブが 1 つも選択されていない場合、グラフに現在表示されているすべてのカーブが対象となってキーがこのフレームに挿入されます。