高密度 F カーブとは、多数のキーをもったカーブのことであり、多くの場合はフレームごとに1つのキーが存在します。モーションキャプチャやプロットデータで取得したカーブなどがその例です。このタイプのFカーブは、数個のキーを変更する場合でも、他の多くのキーを調整してカーブ形状全体を保つ必要があるため、ほとんどの場合に編集が困難です。たとえば、キーを 1 つだけ移動すると、カーブにピークが生じます(下図を参照)。
高密度カーブの編集に伴う困難さを回避する手段が、[ハイレベル編集(HLE)]ツールです。このツールを使用するとFカーブの全体的な形状を調整できます。この概念は、ラティスを使用してオブジェクトのジオメトリの形状を調整する作業に類似しています。[HLE]ツールによって、キーの数が少ない「スカルプ」カーブが作成されます。ただし、スカルプカーブ上の各キーは密度の高いFカーブのポイントのグループを参照します。次に、作成されたカーブを編集すると、簡単な数値演算によって高密度の Fカーブの形状が調整されます。数値演算は、用意されている 3 つの HLE オペレーションのいずれかを使用して行います。
Fカーブエディタのツールバーで[HLE]ボタンをクリックし、ハイレベルの編集モードをオンにします。
選択したFカーブの形状を調整するためのHLE カーブが作成されます。通常のFカーブと同様にHLE カーブ上にもキーがあり、編集することができます。HLE カーブは、HLE モードでのみ存在し、表示することができます。以下に示す HLE カーブは、[相対オフセット]オペレーションを使用しています。
HLE カーブには緑のキーが表示されています。「スレーブ」カーブは薄い青色に変わり、選択することはできません。
選択したカーブはHLE カーブに対する「スレーブ」カーブとなり、薄い青色に変わります。このモードでは選択できませんが、HLE カーブに対して行った変更がどのように「スレーブ」カーブに反映されるかを確認することはできます。
[C]ボタンの横のリストから、HLEオペレーション([相対オフセット]、[絶対オフセット]、または[絶対スケーリング])を選択します。HLEセッションの間に、オペレーションを切り換えることもできます。
通常のFカーブと同様に、HLE カーブを編集します(ポイントの移動、スケーリング、追加、または削除など)。
HLE カーブを編集すると、変更内容が対応する高密度の F カーブに転送されます。HLE モードのときは、スレーブの F カーブを編集することはできません。
スレーブカーブを変更せずに HLE カーブを移動するには、[C]ボタンをクリックします。編集内容をスレーブカーブに反映させるには、このボタンを再びクリックします。
編集が終わったら、[HLE]ボタンをクリックして HLE モードを非アクティブにします。
スレーブカーブは新しい形状に更新され、再び選択できるようになります。他のFカーブもすべて、再度表示されます。
HLE カーブをリセットすることはできませんが、変更前にスナップショットを撮り、必要に応じてそのスナップショットに差し替えることができます(「 F カーブ バッファで安全に編集する」を参照)。
現在のオペレーションに対応したHLE カーブのみが表示されます。HLE モードでの作業中にオペレーションを変更すると、変更後のオペレーションに対応した新しいHLE カーブが表示されます。
[絶対オフセット](Absolute Offset)は、すべてのスレーブカーブに対してHLE カーブを 1 つ作成します。HLE カーブのフレームには、値が0のキーが2つあります。この 2 つのキーは、全スレーブカーブの最初のキーと最後のキーに対応しています。HLE カーブを編集すると、初期のカーブと現在のカーブの差分がすべてのスレーブに追加されます。
[絶対スケーリング](Absolute Scaling)は、初期カーブに対する現在のカーブの比率によりスレーブがスケーリングされる点を除き、[絶対オフセット]とまったく同じ操作です。初期カーブのキーの値は 1 です。
[相対オフセット](Relative Offset)は、1 つのスレーブカーブに対し1 つ HLE カーブを作成します。各 HLE カーブは、対応するスレーブカーブをロウパスフィルタ処理(スムージング)し、結果をリサンプル(キーの数を減少します)してからキーの時間をロックすることで作成されます。キーの比率は10: 1(Fカーブ上のキー10 個に対してHLE カーブ上のキー1つ)になります。