コースティクスを使用してレンダーするには、特定の設定またはアトリビュートをオンにする必要があります。最初に設定するコースティック関連のアトリビュートは次の 2 つです。
最初に既定の設定でこれらのアトリビュートを使用してシーンをレンダーし、レンダーしたイメージを確認します。その後、レンダーしたイメージと前のレイ トレーシング レンダリングを比較します。コースティクスを使用したレンダリングを何度も行ううちに、最初に使用すべき設定がわかるようになります。
mental ray for Maya ではフォトンを使用してシーンのコースティック エフェクトをシミュレートします。フォトンはシーンの光源から放出されるエネルギーの小さなパケットです。フォトンは透明なオブジェクトでは屈折し、反射率の高いサーフェスでは反射しながらシーン内を進みます。レンダラはフォトン放出による照明をフォトン マップというファイルに記録します。全体的なコースティクスのシミュレーションは、フォトンの計算結果によって決まります。
スポット ライトからは光だけでなく、コースティクス フォトンも放出されます。全体的なコースティクス エフェクトは、フォトンの計算結果によって決まります。
すでにライトはコースティクス フォトンを放出するように設定され、コースティクスのプリセットが選択されており、コースティクスを使用してイメージをレンダーする準備は整っています。
屈折レベルの設定が小さすぎると、光線は一部のサーフェスだけで屈折され、レイ トレーシングの際に半透明なサーフェスがリアルに見えません。このため、半透明に見えるべきオブジェクトが不透明になってしまいます。
屈折(Refractions)の設定を大きくすると、光線の屈折回数が適切になり、レンダラでガラスのサーフェスを通して見える部分を正しく計算できるようになります。
次の手順では、屈折の設定を変更して、レンダーしたときにボトルが半透明に見えるようにします。
屈折(Refractions)の設定では、光線の屈折可能な回数が設定されます。この設定が小さすぎると、光線は一部のサーフェスしか通過できません。最大トレース深度(Max Trace Depth)の設定では、屈折(Refraction)と反射(Reflection)の合計回数の上限が設定されます。たとえば、この値を 8 に設定すると、反射を 2 回、屈折を 6 回行うことができます。
フォトンはレンダリングの際に光線と同じように屈折します。コースティクス フォトン(Caustic Photons)の屈折(Refractions)設定を大きくすると、レンダラでボトルに適用するコースティクスを正確に計算できます。この場合、コースティクス フォトンの屈折(Caustic Photon refraction)設定とレイ トレーシングの屈折(Raytracing refractions)を一致させることをお勧めします。
最大フォトン深度(Max Photon Depth)の設定では、コースティクス フォトン(Caustic Photons)の屈折と反射(Refraction and Reflection)計算の上限を設定します。フォトン の屈折(Photon Refractions)の設定はレイ トレーシングの屈折(Refractions)設定と似ていますが、コースティクス フォトン(Caustic photons)の屈折を設定するものです。レンダー設定(Render Settings)ウィンドウを閉じます。
フォトンの輝度(Photon Intensity)を大きくすると、ボトルのシャドウに表れる屈折されたコースティクスの明るさが増します。
ガラスの透明さが一層リアルになっています。また、ボトルのシャドウのコースティクス エフェクトがはっきりしています。ただし、ボトルの前のサーフェス上にある光のスポットが前よりも強くなっています。これは、コースティクスの質が低く設定されているために生じています。
シーン内のコースティクス エフェクトの質は、主にフォトンの数、サンプリングの精度、およびサンプリング領域の半径によって決まります (すでにグローバル イルミネーション(Global Illumination)のチュートリアルについて学習済みであれば、類似点にお気づきかもしれません)。
次の手順では、レンダー設定(Render Settings)ウィンドウとアトリビュート エディタ(Attribute editor)に戻り、コースティクス エフェクトに影響を与える質のアトリビュートの値を大きくします。
精度 の設定によって、入力したサンプリング ポイントでコースティクスの強度(Caustic intensity)を定義するために評価するフォトンの数が決まります。また、半径によって、特定のサンプリング ポイントの周辺領域のサイズが決まります。サンプリングするフォトンの数が多いほど、最終イメージのコースティクス エフェクトがよりリアルになります。
シーンに放出されるコースティクス フォトンの数を増やすと、コースティクス エフェクトの質も向上します。コースティクス フォトンの数を大きくすると、レンダー処理の最初に作成されるフォトン マップの密度も増します。フォトンの数を増やすにつれて、コースティクス エフェクトはスムーズになります。
このイメージでは、前のイメージと比較してボトルの前にある明るい部分が少なくなっています。また、ボトルのシャドウのコースティクスがよりはっきりと均一に見えます。