スケルトン用のニュートラル ポーズを作成する

 
 
 

スケルトンを作成する際には、アニメートまたはエンベロープする前に、デフォルト位置(ポーズ)のスケルトンを保存するようにしましょう。つまり、一定のリファレンスポイントを設け、スケルトンのエンベロープ、アニメーション作業時に元の状態に戻せるようにします。このポーズは、ニュートラル ポーズ、リファレンスポーズ、または基本ポーズとも呼ばれ、四肢を大の字に伸ばしたキャラクタがしばしば使われます。これによりエンベロープのウェイト設定やテクスチャの調整が容易になります。

デフォルト T ポーズのリグ付きキャラクタ

ニュートラル ポーズはエンベロープのウェイト設定およびテクスチャの調整に大変役立ちますが、スケルトンの位置および回転をアニメートする場合はこれが常に最良の値であるとは限りません。アニメーションの最適化用にニュートラル ポーズを設定する場合は、以下のセクションの「アニメーション用にニュートラル ポーズを作成する」を参照してください。

同様に、アクション ソースにスケルトンのニュートラル ポーズを保存しておけば([スケルトン ポーズの格納](Store Skeleton Pose))、そのニュートラル ポーズをキャラクタに何度でも適用できます。詳細については、「スケルトン ポーズをアクション ソースに保存する」を参照してください。

アニメーション用にニュートラル ポーズを作成する

キャラクタをアニメートする際に、このデフォルト ポーズが必ずしもキー設定が容易なローカル変換値であるとは限りません。たとえば、デフォルトのスケルトンをロードし、指を伸ばした位置からボーンを回転させて、こぶしを握り締めた状態にしたい場合があります。ボーンのローカル回転値を見ると、扱いにくい数字であることがわかります。

この問題を解決するには、ローカル変換値にゼロを使用したニュートラル ポーズを作成します(回転値と移動値は 0、スケーリング値は 1)。ニュートラルポーズを設定しても、オブジェクトの実際のローカル変換値は変更されません。ニュートラルポーズは、オブジェクトに変換レイヤを付加したものに過ぎず、ユーザが指定する特定のキーイング条件はそのレイヤに適用されます。基本的に、ニュートラル ポーズは、階層内のオブジェクトとその親との間に中間ヌルが存在するかのように、オブジェクトのローカル変換値のオフセットとして機能します。

キャラクタの値にキーを設定すると、その値は扱いにくい値ではなく、ゼロからの相対的な差が反映されます。たとえば、手のボーンを座標(0、3、0)でキー設定します。この状態では、手のボーンはニュートラル ポーズよりも Y 軸方向で 3 単位分だけ上にあることがわかります。このポーズは、ボーンの F カーブ値に対応するローカル リファレンス ポイントになります。

ブランチ選択されたニュートラル ポーズの手のボーン

(上)ニュートラル ポーズを設定する前の手のボーンの元のローカル回転値。それぞれの値が異なっていることに注目してください。

(下)ニュートラル ポーズはローカル回転値を(0,0,0)に設定し、キー設定のベースを簡略化します。

ニュートラル ポーズを設定した状態では、たとえば、チェイン エレメントを選択してそのローカル変換値にゼロと入力すると(ゼロ リセットとも呼ばれます)、このニュートラル ポーズに戻せます。

また、ニュートラル ポーズによりキー設定が容易になるほか、リグに追加するノードの数も減らせます。これまでボーンのニュートラル ポーズの値をゼロに設定する操作をサポートしていた「spacer」ノードや「parent」ノードが必要なくなったためです。

ニュートラル ポーズは、スケルトン内のチェインエレメントだけでなく、どのタイプのオブジェクトでも作成できます。つまり、リグ内のコントロール オブジェクトをゼロにリセットできます。

A

ブランチ選択されたニュートラル ポーズの手のボーン

B

手のボーンを回転させてキー設定しています。ベースとして 0 を使用しているため、回転値は理解しやすくなっています。

C

手のボーンを新しい値で再度回転させ、キー設定しています。

ニュートラル ポーズを削除すると、オブジェクトの変換値はニュートラル ポーズ作成前の値に戻ります。ニュートラル ポーズ値は、デフォルトにリセットされる前にローカル変換値に追加されます。その結果、オブジェクトはグローバル空間で移動しません。

ニュートラル ポーズの設定と削除の方法については、「ニュートラルポーズの設定」(「3D 空間での操作」)を参照してください。