Softimage のスケルトンは、ボーン(骨)で構成され、それぞれのボーンは回転可能なジョイント(関節)でつながっています。Softimage では、ボーンとジョイントの組み合わせを 1 つのチェインと総称します。「チェイン」は、人間や生物だけでなくあらゆる種類のオブジェクトをアニメートする際に使用できます。
チェインは、ルート、ボーン、ジョイント、およびエファクタの 4 つの基本コンポーネントから構成されています。1 つのチェインに設定できるボーンの数に制限はありませんが、少なくとも 1 つのボーンが必要です。
インプリシット ボーンのみを使用するチェインを作成して IK 以外のリグを作成することもできます。「インプリシット ボーン チェインの描画」を参照してください。
チェイン ルートは、チェインの始点として機能するヌルです。ルートは、チェイン内にあるその他すべてのエレメントの親です。最初のジョイントは、ルートに対してローカルであるため、ルートの位置と回転によって、残りのチェインの位置と回転が決定されます。2D チェインでは、チェイン全体がルート(と最初のボーン)の XY 平面(レゾリューション プレーン)に延長されます(「 チェインのレゾリューション プレーン」を参照)。チェイン ルートは別のオブジェクト(別のチェイン ルートやエフェクタなど)の子にすることができます。
ボーンは、ルート、ジョイント、およびエファクタにつながる部分です。ボーンは、常にその末端にあるジョイントを中心に回転します。チェーンの最初のボーンがルートの周りを回転します。チェイン内の最初のボーンはチェイン ルートの子となり、その他のすべてのボーンはチェイン内の直前のボーンの子となります。
ボーンに回転のキーイングをすることで、[フォワードキネマティクス(FK)](forward kinematics (FK))でアニメートできます。
ジョイントは、チェイン内の 2 つの構成要素を接続する関節です。ルートと最初のボーンの間、チェインのボーン同士の間、および最後のボーンとエフェクタの間にジョイントが存在します。最初のジョイントは、ルートと最初のボーンの間にあります。
ジョイントは 2D または 3D のいずれかで、それぞれ異なる動作をします(チェインのタイプについては、「2D チェインおよび 3D チェイン」を参照)。
[2D チェイン](2D chain),のジョイントは動きが制限された蝶番のように動作するため、腕や脚の折り曲げなどの典型的な手足のアクションが作成しやすくなります。ルートにある最初のジョイントだけが、自由に動くことができるボール ジョイントとして機能します。IK を使用する場合、2D チェインの残りのジョイントは、蝶番のようにルートの Z 軸のみを中心にして回転します。もちろん、FK で 2D チェインのジョイントを任意の方向に回転させることはできますが、これは IK を起動するとすぐに無効になります。
2D ジョイントは、チェイン上では円で表示されます。円の角度は、チェインが展開されるプレーンまたはレゾリューション プレーンを表します(「 チェインのレゾリューション プレーン」を参照)。
[3D チェイン](3D chain)では、ジョイントを任意の方向に動かすことができます。そのすべてのジョイントは、ボール ジョイントのようにどの軸に対しても自由に回転できるため、犬のしっぽや海草など揺れ動くオブジェクトをアニメートできます。3D ジョイントは、X 軸、Y 軸、および Z 軸に沿った 3 つの円で表されます。
エフェクタは、チェインの終点を示す特別なヌルです。エフェクタを移動させると、IK が起動し、ルートとエフェクタ間のチェインの全ジョイントの角度が変更されます。
Softimage の既定の設定でチェインを作成すると、エフェクタはチェイン ルートの子になります。このため、チェインの階層の任意の場所にエフェクタを配置したり、エフェクタをチェインの外部のオブジェクトの子とすることもできます。また、エフェクタはグローバルではなくローカル空間でアニメートできます。
エフェクタのアニメーションの詳細については、「エフェクタをアニメートする」を参照してください。
チェインは 2D または 3D で作成されます。2D チェインと 3D チェインの違いは次のとおりです。
2D チェインは、本質的に動きが制限されたヒンジ ジョイントのように動作するため、脚や腕の折り曲げなどの典型的なスケルトン アクションが作成しやすくなります。IK(インバース キネマティクス)を使用した場合、2D チェインのジョイントでは、ヒンジ ジョイントのようにルートの Z 軸に対する回転のみが可能となります。
2D チェインを作成してエフェクタを移動(IK を起動)すると、最初のボーンに続くジョイントはすべてヒンジ ジョイントのように動作することが確認できます。もちろん、FK(フォワード キネマティクス)で 2D チェインのジョイントを任意の方向に回転することはできますが、これは IK を起動するとすぐに無効になります。
一方、3D チェインは任意の方向に動かすことができます。このジョイントは、ボール ジョイントのようにどの軸に対しても自由に回転できます。3D チェインを使用すると、犬が尻尾を振る動作など、どのようなものでも作成できます。
2D チェインと 3D チェインのいずれにおいても、ルートが最初のジョイントに接続する最初のボーンは常にボール ジョイントであり、どの軸上でも回転できます。
下の図は、さまざまなスケルトン エレメントが Explorer のどこに表示されるかを示しています([選択]パネルで[選択](Selection)ボタンを使用することで、オブジェクト固有の Explorer が開きます)。該当するアイコンをクリックすれば、それぞれのプロパティ エディタを開くことができます。
[ルート](Root)プロパティは、チェイン ルートの可視性プロパティとシャドウ半径のみで構成されます。これらを設定するには、[チェイン ルート]を選択して[Enter]キーを押すか、または Explorer でルートのアイコン([チェイン ルート]アイコンではなく、その上にあるノードのアイコン)をクリックします。
[ボーン](Bone)のプロパティは[チェイン ボーン]プロパティ エディタで設定します。ボーンを選択して[Enter]キーを押すか、または Explorer の[チェイン ボーン]アイコンをクリックします。何も選択せずに[Enter]キーを押すと、チェイン、ジョイント、ボーンの各プロパティ エディタが一度に開きます。
[ジョイント](Joint)のプロパティは、[キネマティック ジョイント]プロパティ エディタで設定します。2D ジョイントまたはボーンを選択して[Enter]キーを押すか、Explorer で[キネマティック ジョイント]アイコンをクリックします。
[静止キネマティクス状態](Static KineState)は、エンベロープがスケルトン エレメントに適用されていることを示します。静止キネマティクス状態は、エンベロープが適用されるときのスケルトンの最初の位置です。この情報はエンベロープの計算で使用されます。
[エフェクタ](Effector)のプロパティは主に[キネマティック チェイン]プロパティ エディタで設定されます(開き方については下記を参照)。
ただし、[チェイン終端エフェクタ]プロパティ エディタのエフェクタ表示およびシャドウ プロパティのみを変更する場合は、エフェクタを選択して[Enter]キーを押すか、Explorer でエフェクタ アイコンをクリックします(エフェクタの上のノードに対応する[チェイン終端エフェクタ]アイコンとは異なります)。
チェインで作業していると、[キネマティック チェイン]プロパティ エディタを頻繁に開く必要があります。[キネマティック チェイン]プロパティ エディタには、IK チェインの解決方法(特にエフェクタ プロパティ)を決定するパラメータの大部分が含まれています。