オブジェクトの[Visibility]プロパティを使用すると、ライトから放出されたコースティックのフォトンまたはグローバルイルミネーションのフォトン、あるいはその両方にオブジェクトがどのように反応するかを制御するオプションを設定できます。
[キャスタ](Caster)パラメータは、オブジェクトがフォトンをキャストできるかどうかを制御します。つまり、フォトンがオブジェクトに当たって跳ね返り、引き続きシーン全体を移動し、そのプロセスでオブジェクトのカラーの一部をピックアップするかどうかを制御します。[キャスタ](Caster)パラメータがオフの場合、オブジェクトは単にフォトンを吸収します。
[レシーバ](Receiver)パラメータは、オブジェクトがフォトンを受け取って保存するかどうかを制御します。このパラメータがオフの場合、フォトンエフェクトはオブジェクトのサーフェイスで表示されません。
[可視](Visible)パラメータは、オブジェクトがフォトンに対して完全に可視化されるかどうかを制御します。このパラメータがオフの場合、フォトンは単にオブジェクトを通過します。
オブジェクトがフォトンに対して可視化されない場合、オブジェクトは引き続きキャスタとして使用できますが、レシーバとして設定することはできません。この場合、フォトンはオブジェクトに当たって跳ね返り、引き続きシーン全体を移動しますが、オブジェクトのサーフェイスには影響しません。
これらのパラメータは、それぞれコースティクスとグローバルイルミネーションに対して個別に設定できます。つまり、あるオブジェクトをグローバルイルミネーションのキャスタとしては使用するが、コースティクスのキャスタとしては使用しないなどの設定が可能です。
このシーンでは、ガラス製蒸留器、ブンゼン式バーナ、およびスタンドはすべて、コースティクスのキャスタおよびレシーバとして設定されています。床はレシーバとしてのみ設定されており、蒸留器内の液体はキャスタとしては設定されていますが、レシーバではありません。すべてのオブジェクトがコースティクスに対して可視化されています。
グローバルイルミネーションまたはコースティクスを正しくレンダリングするためには、少なくとも1つのキャスタ、1つのレシーバ、およびフォトン放出ライトを定義する必要があります(「ライトのフォトンエミッタとしての定義」を参照)。これらの項目のうち1つでも見つからない場合は、レンダリング時にフォトンエフェクトが無効になります。項目が見つからない旨の警告が表示されます。
キャスタとレシーバの定義によってエフェクトを表示する場所が決まるため、これらを定義することはフォトンエフェクトの作成において不可欠な手順です。
[Select]パネルで[選択](Selection)ボタンをクリックし、Explorer から[Visibility]アイコンをクリックします。オブジェクトの[Visibility]プロパティエディタが開きます。
適切なパラメータを切り替えて、オブジェクトがグローバルイルミネーションフォトンまたはコースティクスフォトンを受け取るのか、キャストするのか、またはこれらのフォトンに対して可視化されるのかを指定します。これらのオプションは自由に組み合わせることができます。
レンダリングの前に、レンダパスのグローバルイルミネーションかコースティクスまたはその両方をアクティブにする必要があります。
コースティクスエフェクトおよびグローバルイルミネーションエフェクトのレンダリングの詳細については、「レンダ領域でフォトンを表示する」および「レンダリング用のグローバル イルミネーションおよびコースティクスを準備する」を参照してください。
シーンに多くのオブジェクトが含まれる場合、オブジェクトごとにフォトンの可視性オプションを管理するのは難しくなります。複雑なシーンでは、オブジェクトをパーティションに分割し、オーバーライドを使用して、1つのパーティション内のすべてのオブジェクトごとにフォトンの可視性オプションを管理する方が簡単です。たとえば、コースティクスを多く使用しているシーンでは、すべてのオブジェクトがキャスタとレシーバ両方に指定されていることはほとんどないため、キャスタとして指定されているオブジェクトのパーティション、レシーバとして指定されているオブジェクトのパーティション、およびキャスタとオブジェクト両方として指定されているオブジェクトのパーティションを作成することができます。このプロセスの詳細については、「パーティションのオブジェクトに対するレンダリングの可視性をオーバーライドする」(「レンダリング」)を参照してください。