フォトン ライティングの概要

 
 
 

グローバル イルミネーション

現実の世界では、光はオブジェクト(物体)に衝突するまで直進します。光は、オブジェクトに反射性があれば跳ね返り、オブジェクトが透過/半透明であれば通り抜け、オブジェクトが不透明であれば吸収されます。あるいは、それらの特性が少しずつ混在する場合もあります。

反射する場合は、別のオブジェクトに衝突するまで光線は再び直進します。衝突と直進を繰り返しながら、光線は衝突するたびに弱くなり、やがて消滅します。光線が吸収されると、オブジェクトが持つカラーの何色かはオブジェクトから反射され、発散されます。たとえば、白い部屋の中央に明るい赤色のボールを置くと、白い床がわずかに赤色に染まります。

Softimage では、現実の世界の光をグローバル イルミネーションでシミュレートします。グローバル イルミネーションには、反射光の発散方法により直接ライティングと間接ライティングとがあります。フォトン(ライト)は光源から全方位に放出され、シーンに照射されます。これらのフォトンがオブジェクトに衝突すると、オブジェクトに吸収されたり、反射、屈折したりします。反射、屈折した光線は、別のサーフェイスを照らします。

たとえば、ライトを直接あてたり、反射率が高いサーフェイスで光を反射させなくても、テーブルの下は完全な暗闇にはなりません。このように、グローバルイルミネーションでは、シーン全体に広がる一様な環境光は発せられません。

コースティクスエフェクト

コースティクスは、ライトが反射や屈折によってディフューズ サーフェイスを照らす場合に作成されるライト パターンです。たとえば、拡大鏡の下の明るいパッチ、ミラー ボールから壁への光の反射、さざなみが立っている水面下のハイライトのゆらぎ、などです。

コースティクスは、グローバル イルミネーションのサブセットで、フォトンはシーンのコースティクス生成オブジェクトの方向にのみ放出されます。このフォトンは、シーンのディフューズ サーフェイスに当たるまで、コースティクス生成オブジェクトによって反射または伝達されます。フォトンは、コースティクス オブジェクトに当たると、コースティクス[フォトンマップ]に格納されます。フォトンは、ディフューズ サーフェイスでのみ格納されます。したがって、コースティクス オブジェクトには、反射モデルにディフューズ コンポーネントがある必要があります。

コースティクス放射オブジェクトのマテリアルによって、このオブジェクトに当たるフォトンが持続するかどうか、またどのように受けつがれるのかが決められます。また、コースティクスを受け取るオブジェクトのマテリアルによって、プロセス中にオブジェクトによって吸収されるフォトンを「選択する」方法が決められます。

ヒント:最適な効果を得るには、オブジェクトのマテリアルは主としてスペキュラ(ほとんど、またはまったくディフューズ反射がない)で、反射と透明度の合計が 1 に近いか、または 1 以上でなくてはなりません。

フォトンについて

エフェクトを伝達するオブジェクトにフォトンが当たると、フォトン情報が格納され、フォトンは引き続き間接ライティング情報をトレースします。

フォトンを伝達するオブジェクトは、ディフューズである(黒でない)、鏡面反射が高い、透明である、ライトを屈折するのいずれか、またはその組み合わせです。エフェクトを受け渡さないオブジェクトにフォトンが当たると、フォトンの跳ね返りが停止されて吸収されます。

オブジェクトの[表示/非表示]プロパティ エディタを使用して、どのオブジェクトがエフェクトを受け、伝達するかをコントロールできます。また、[レンダオプション]プロパティ エディタで、フォトンの跳ね返りの回数をコントロールすることもできます。詳細については、「フォトンのキャスト、受け取り、表示を設定する」を参照してください。

この情報は[フォトンマップ]に格納されます。[フォトンマップ]はフォトンがシーンのどこに格納されているかを 3 次元で表現します。満足できるシーンができたら、[フォトンマップ]を保存します。これで、その後シーンのレンダリングを行うたびに再計算をする必要がなくなります。

グローバル イルミネーションを使用した場合に発生するフォトンのパス

フォトンの動作

シーンに投入するフォトンが増えるほど、エフェクトの精度が高くなります。一般に他のエフェクトを設定する場合、設定範囲は 0~1 または 1~100 ですが、フォトンの設定値は、1,000、10,000、100,000、または 500,000 以上になります。シーンの中に存在するフォトンが多いほど、レンダリング時間は長くなります。

フォトンの跳ね返りエフェクトを出すには、フォトンにエネルギーが必要です。さらに、オブジェクトからオブジェクト、あるいは遠いオブジェクトまでフォトンが跳ね返るように、フォトンの強さを数値で指定する必要があります。フォトンは、サーフェイスに「衝突」するたびにエネルギーを放出し、それがフォトン エフェクトを作成します。

[エネルギー強度](Energy Intensity)によってエフェクトの輝度がコントロールされます。各フォトンでは、指定されたエネルギー量が均等に使用されます。たとえば、1000 フォトンは、フォトン エネルギーの 1/1,000 を使用します。一般に、光源から遠いオブジェクトほど、各フォトンに大きなエネルギーが必要です。ここでも、大きな値(100、1,000、10,000、100,000、1,000,000、およびそれ以上)を指定します。

エネルギー値はレンダリング時間には影響を与えません。フォトンのエネルギーの設定については、「レンダリング用のグローバル イルミネーションおよびコースティクスを準備する」を参照してください。