フォグ(霧)、クラウド(雲)、泥水といった媒質(メディア)は、内部を通過する光をある程度散乱させます。このため、これらは「光の伝搬に関与(パーティシペート)する」メディアと言われます。パーティシペイト メディアをシミュレートするには、ボリューム シェーダが必要です。
[parti_volume]シェーダは、等方性(ディフューズ)スキャッタリングまたは異方性スキャッタリングによって、均質な(密度が均一な)パーティシペイト メディアおよび不均質なパーティシペイト メディアをシミュレートします。[parti_volume]と[parti_volume_photon]は 2 ローブ(両面)のスキャッタリング モデルを使用しており、ライトはライトの入射方向の前方および後方に散乱します。このスキャッタリング モデルは Ch. Schlick によって考案されたもので、塵、霧、雨粒などからの実際のスキャッタリングをモデリングできます。
あらゆるメディア(真空を除く)には、その内部を移動する光を散乱させる、静止したパーティクルが含まれていると仮定されます。散乱はボリュームのシェーディングにおいて重要な役割を果たし、散乱のタイプを決定するのは光の波長とパーティクルのサイズの関係です。パーティクルの半径がライトの波長よりも非常に小さい場合は、識別可能な散乱はなく、光は吸収されます。ライトの波長よりも若干小さいパーティクルは、[レーリー](Rayleigh)スキャッタリング(タバコの煙や塵などに見られる)を引き起こします。光の波長とおおよそ同じサイズのパーティクルは、ミー散乱(Mie scattering: 水の飛沫や霧などに見られる)を引き起こします。Mie モデルでは、希薄なパーティクル密度と濃密なパーティクル密度の両方に対応しており、それぞれ Hazy Mie と Murky Mie と呼ばれます。パーティクル サイズがライトの波長よりも非常に大きい場合は、ジオメトリック光学が有効になります(法線ソリッド サーフェイス)。
名前(Name) |
Render Tree に表示されるシェーダ ノードの名前。任意の名前を入力するか、デフォルト名を使用します。 |
モード(mode) |
モードが 0(ゼロ)に設定されている場合、ボリューム全体がパーティシペイト メディアで満たされます。 モードが 1 に設定されている場合、指定した[height]以下にパーティシペイト メディアが満たされ、その上は清浄な空気または真空です。 |
スキャッタリング(scatter) |
スキャッタリング メディアのカラー。メディアによって拡散される直接光および間接光のカラーを決定します。フォトン ボリューム マップのフォトンに対する、フォトン エネルギーの乗数としても作用します。[extinction]係数との関係は反比例です。 |
消滅(extinction) |
メディアの消滅係数。メディアの中で吸収または分散されるライトの割合を決定します。0(ゼロ)は清浄な空気または真空です。この係数が大きいほど、メディアの密度が高く(フォトンの散乱が多く)なります。消滅係数が大きいと、フォトンは短距離で散乱してしまうため、ボリュームの内部まで深く入ることができなくなります。 |
r g1 g2 |
スキャッタリングをコントロールします。 g1 と g2 がゼロの場合(デフォルト)は、等方性散乱がモデリングされ、すべての散乱方向の確率が同等になります。これは、拡散散乱とも呼ばれます。 異方性反射は、2 ローブ散乱モデルによってモデリングされます。各ローブは以下のようになります。 |
不均等(nonuniform) |
メディアが均質(均等な密度)であるか不均質(雲のような密度の変化)であるかを決定します。0~1 の数字を指定します。 |
height |
[mode]パラメータが 1 に設定されている場合は、このオプションで指定した高さよりも上が清浄な空気または真空になります。 |
min_step_len max_step_len |
レイ マーチングのステップ長を決定します。通常、最小値は最大値の 10 パーセントとなるようにします。最大値が小さいほど、より正確でゆっくりになり、ボリューム ステップはサンプリングされて可視化されます。[parti_volume_photon]でも、ボリューム フォトンのルックアップ用に同じパラメータが使用されています。 |
light_dist |
エリア光源のサンプリングを最適化します。エリア光源にオプションの低サンプリングが使用されている場合に使用します。たとえば、次のように記述します。 rectangle 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 10 10 3 2 2 効率性を高めるため、[parti_volume]は常に低いサンプルの数値を使用します(ここでは 2 2)。直接イルミネーションは、レイの進行中にそれぞれのレイに沿った多くのポイントで計算されるので、通常はこれで十分です。しかし、エリア光源の近くでは、高いサンプルの数値(ここでは 10 10)を使用する必要があります。[light_dist]パラメータは、使用すべき高い方のサンプルの数値を、光源からの距離によって決定します。 |
min_level |
このパラメータは無効です(対応する[parti_volume_photon]シェーダによって使用されます)。 |
no_globil_where_direct |
ボリューム エフェクト内のグローバル イルミネーションを計算せず、直接イルミネーションだけを計算するようにシェーダに指示します。そのような考慮が不要な場合は、最適化用になります。 1(オン)に設定した場合は、散乱エフェクトの方向性に関連するパラメータ r、g1、g2 は間接イルミネーションについては考慮されなくなりますが、直接イルミネーションには考慮されます。 |