Maya シーン ファイルは、パイプライン キャッシュ(Pipeline Cache)ツールを使用して Alembic ベースのキャッシュ ファイルとして保存し、ロードすることができます。Alembic ファイル フォーマットは、複雑な 3D ジオメトリのデータを交換するために開発されたオープンソースのフォーマットです。Alembic ファイルは可搬性に優れ、アプリケーションに依存しないため、多くのコンテンツ作成アプリケーションで共有したり、処理したり、再生することができます。Maya では、Alembic フォーマットのバージョン 1.04 がサポートされています。
Maya では、Alembic ベースのキャッシュはさまざまなパフォーマンスの向上をもたらします。たとえば、大きなシーンを高速でロードしたり、複雑なキャラクタのアニメーションを高速に再生したり、トポロジの変更を含むジオメトリ データをリアル タイムに再生することができます。複雑なシーンやアニメーションは、Alembic ファイルとして書き出し、Maya に再び読み込むことで、再生パフォーマンスを向上させ、メモリ使用を軽減させることができます。このワークフローにより、完全に編集可能なシーンによる大幅なオーバヘッドを生じることなく、複雑なシーン データを、アニメーションとシミュレーションの間やアニメーションとライティングの間などの制作パイプラインのさまざまな領域に簡単に渡すことができます。
Alembic ベースのキャッシュには、標準の Alembic キャッシュと、GPU に合わせて最適化されるキャッシュの 2 タイプがあります。両方のキャッシュ ファイルはサードパーティ製アプリケーションと互換性があり、.abc ファイル拡張子で保存されます。
Maya オブジェクト/シーンを Alembic キャッシュとして保存しロードするには、標準タイプの Alembic ファイル用には AbcImport.mll と AbcExport.mll プラグインを、GPU に合わせて最適化される Alembic ファイル用には gpuCache.mll プラグインをロードします。プラグインをロードするには、プラグイン マネージャ(Plug-in Manager) (ウィンドウ > 設定/プリファレンス > プラグイン マネージャ(Window > Settings/Preferences > Plug-in Manager))を開きます。詳細については、Maya プラグインをロード/アンロードするを参照してください。
Alembic キャッシュと GPU キャッシュのロードと保存は、Maya メイン メニュー バーのパイプライン キャッシュ(Pipeline Caches)メニューから行うことができます。パイプライン キャッシュを参照してください。
以下の表に、Alembic キャッシュ ファイルと GPU キャッシュ ファイルの重要な特性の比較を示します。
機能 | Alembic キャッシュ | GPU キャッシュ |
---|---|---|
Alembic キャッシュ > Alembic の読み込み(Alembic Cache > Alembic Import)によるキャッシュ ファイルのロード | あり | あり |
GPU キャッシュ > 読み込み(GPU Cache > Import)によるキャッシュ ファイルのロード | あり | あり |
キャッシュが読み込まれた時点のオブジェクト階層 | オリジナルのノード階層が保持される | オリジナルのノード階層が単一のノードに集約される |
サポートされるレンダラ | Maya ソフトウェアと mental ray | mental ray |
書き出されるカラー情報 | なし( 元のオブジェクトのシェーディングを Alembic オブジェクトに割り当てるを参照) | RGBA 情報のみ |
読み込まれたキャッシュ ファイルの編集 | Maya ジオメトリとして編集 | ジオメトリは編集できない |
キャッシュ ファイルの評価 | Maya ディペンデンシー グラフを使用 | システム グラフィックス カード上の gpuCache ノードを使用 |
ロードされたプラグイン | AbcImport.mll、AbcExport.mll | gpuCache.mll |
MEL コマンドのサポート | あり | あり |