アンビエント シャドウの詳細設定

 
 
 

アンビエント シャドウの設定を調整する理由

標準のアンビエント シャドウ計算では、特定の状況下でオブジェクトが暗くなりすぎることや、くすみすぎることがあります。この場合、次のような対処が必要になる場合があります。

アンビエント シャドウの詳細設定は、ベイク処理されたアンビエント シャドウに対してのみ使用できます。

アンビエント シャドウの詳細設定を表示するには:

  1. [外観設定] > [アンビエント シャドウ]を選択します。
  2. [アンビエント シャドウ]ウィンドウで、[プリセット プロパティ(詳細)]の横にある矢印() をクリックして、詳細設定を表示します。

シャドウのプリセット

計算時間を短くするには、[プリセット]リストで[プレビューの精度(高速)]を選択します(ただし、精度が低下します)。精度を高くするには、[高精度(低速)]を選択します。カスタム プロパティを設定するには、[カスタム]を選択して、詳細プリセット プロパティを使用します。

(このリストにプリセットを追加するには、C:¥Program Files¥Autodesk¥Showcase ¥support¥AmbientShadowsPresets¥Presets.txt を編集します。既存のプリセットのテキストをコピーして貼り付け、必要に応じて値を編集します。)

シャドウ マップ解像度

シャドウ マップ解像度により、各オブジェクトに対して計算されるアンビエント シャドウ マップの解像度が決まります。パフォーマンス上の理由により、モデル全体と同じ大きさのオブジェクトに対して最も高い解像度が割り当てられます。より小さなオブジェクトでは、その寸法に比例して解像度が低くなります。(サンプル数を増やして)解像度を高くすると、細部がより鮮明に表示されますが、計算時間が長くなります。

推奨の解像度は 1.0 です。1.0 より小さい値にした場合、計算時間は短くなりますが、精度が低くなります。1.0 より大きい値にした場合、細部がより鮮明に表示されますが、計算時間は長くなります。

この値は、マテリアルで使用されるテクスチャ解像度に関係し、マテリアル テクスチャのサイズに影響します。たとえばシャドウ マップ解像度を 2.0 にすると、マテリアル テクスチャが、シャドウ マップ解像度 1.0 の場合の領域のおよそ 2 倍になります。

注:

暗いパッチ、シームの "焼けたような跡"、染みなどの欠陥がサーフェスに表示される場合、サンプリングまたは解像度を高くする必要があることがわかります。

サンプル数

アンビエント シャドウを計算する際、ソフトウェアでは、サーフェス上のサンプル ポイントのグリッドから半球状の光線(サンプル)を放射し、この光線のうち他のジオメトリに当たるものがいくつあるかを計算します。ある特定のポイントについて、他のジオメトリに当たる光線の割合が大きいほど、そのポイントは暗く表示されます。

サンプル数が少ない場合、計算時間が短くなります。サンプル数が多い場合、計算時間は長くなりますが、アンビエント シャドウはよりリアルになります。

シャドウ サンプル スプレッド

既定では、サンプルの光線は 180 度の半球状に放射されます。放射角度を狭くするには、この設定を使用します。

この設定が特に役立つのは、溝やサーフェス上のくぼみ(キーボードのキーの周囲のくぼんだ部分など)をより精細に表示したい場合です。

ドロップオフを使用する

アンビエント シャドウの計算時に周囲のオブジェクトの距離を条件として含めるには、このチェック ボックスをオンにします。ドロップオフは、コーナーや他のサーフェスで囲まれているくぼみのサーフェスを明るくしたい場合に役立ちます。

(この設定をオフにした場合、周囲のオブジェクトの距離にかかわらず、周囲のオブジェクトに対して同じレベルのアンビエント シャドウが計算されます。)

次の 2 つの設定を使用するには、このチェック ボックスをオンにする必要があります。

ドロップオフ距離

ドロップオフ距離を指定します。これは、アンビエント シャドウの計算に含めるオブジェクトの範囲を定義するもので、それ以上離れたオブジェクトは考慮されなくなります。

ドロップオフ率

サーフェスがサンプリング ポイントから離れるにつれて明るくなるようにアンビエント シャドウが計算されます。

ぼかし量

より自然に見えるように、アンビエント シャドウ マップにぼかしを加えます。ぼかし量を多くすると、細い隙間からアンビエント シャドウが "漏れている" ような効果を出すことができます。

環境フロアを使用してオブジェクトをオクルードする

環境フロアが存在している場合、このチェック ボックスをオンにすると、アンビエント シャドウの計算時に環境フロアが計算に含められます。一般にフロアではライトが吸収されるので、シーンがやや暗くなり、よりリアルな表示になります。

モデルの底部を照らすには、このチェック ボックスをオフにします。たとえば、モデルが空中で浮いているような効果やモデルに対する照明を抑えた効果を出したい場合などです。

頂点単位の計算(高密度メッシュの場合)

通常、オブジェクトが細かく均一にテッセレートされている場合は、頂点に基づいてアンビエント シャドウを計算すると、良好な結果が得られます。ただし、多くのテッセレータはアダプティブであるため、通常はこのようにならないケースがほとんどです。たとえば、大きくて平らな矩形をテッセレートした結果が、2 つの三角形と 4 つの頂点のみとなる場合があります。この場合、頂点に基づくアンビエント シャドウ計算を使用すると、データ ポイントが 4 つしか生成されないので、理想的な結果にならない可能性があります。

この設定をオフ(既定値)のままにすると、アンビエント シャドウはテクスチャに基づいて計算されます。ほとんどの場合、この方が良好な結果が得られます。ただし、検証するまでもなく、オブジェクトの頂点のパラメータ設定にオーバーラップする領域が含まれていないことが前提となります。たとえば、閉じたオブジェクトでは、どの 2 つの三角形を取っても(パラメータによる描画で)オーバーラップがないように、パラメータ設定においてカット、展開、フラット化が必要になります。オブジェクトのパラメータ設定においてこの要件が満たされない場合、テクスチャに基づくアンビエント シャドウ計算を実行すると、満足できる結果にならない可能性があります。たとえば、ある立方体の上部空間に球がある場合、6 面すべてにシャドウが表示される可能性があります。