ラスター ペイントの概要

 
 
 

ラスター ペイントとは、イメージ上に直接ペイントするプロセスです。ブラシ ストロークを作成するたびにイメージのピクセルを直接描き換えるという意味では、破壊的なプロセスと言えます。イメージ上にペイントした操作は元に戻せますが、ストロークやシェイプの移動または変更はできません(ただし、さらにその上にペイントした場合は別です)。Softimage でイメージをペイントするには、Fx Tree に[ペイントクリップ]オペレータを挿入したり、各種ペイント ツールを使用して Fx Viewer でペイントする方法があります。

ヒント:ラスター ペイント モードではストロークを修正することはできませんが、[ペイントクリップ]オペレータにはフレームに対する変更を管理する組込みツールがあります。フレームを最後に保存した状態に戻すことで、特定フレーム上の未保存のペイント ストロークを削除できます。詳細については、「ラスター ペイント クリップのフレームを管理する」を参照してください。

ラスター ペイント クリップを取得する

Fx Tree にラスター ペイント クリップを挿入するには 2 通りの方法があります。選択したイメージまたはシーケンスを新しいペイント クリップとして追加する方法と、空のペイント クリップを挿入して後で設定する方法です。ラスター ペイント クリップには、8 ビットまたは 16 ビットの[RGB]、[RGBA]、[アルファ]のいずれかのタイプのイメージを使用できます。

注:ムービー ファイル(.avi、.mov など)はラスター ペイント クリップとしては使用できません。ただし、[入力ファイル]オペレータを介して読み込んだムービー ファイルに、ベクトル ペイント オペレータを使用してペイントすることはできます。

Fx Tree にラスター ペイント クリップを追加すると、左上隅に小さいペイント ブラシのアイコンが表示されます。これにより、その他のペイントが不可能なイメージ オペレータや、ベクトル ペイント オペレータ(別のアイコンで表示されます)と区別しやすくなります。

ラスター ペイント クリップを Fx Tree に読み込むには

  1. 次のいずれかの操作を実行してブラウザを開きます。

    • Fx Tree メニューから、[Import] [Raster Paint Images]を選択します。

      または

    • Fx Tree メニュー バーの[ラスターペイントクリップの新規作成](New Raster Paint Clip)ボタンをクリックします。

  2. ブラウザで、ペイントするイメージまたはシーケンスを選択して[OK]をクリックします。新しい[ペイントクリップ]オペレータが Fx Tree ワークスペースに追加されます。

  3. 必要に応じて、オペレータをダブルクリックしてプロパティ エディタを開き、プロパティを調整します。各種ペイントクリッププロパティの詳細については、「Paint Clip(ペイントクリップ)」(「Fx Operator Reference(Fx オペレータ リファレンス)」)を参照してください。

空のラスター ペイント クリップを Fx Tree に配置するには

  1. [Fx Operator Selector]の[イメージ]タブで、[ラスター ペイント クリップ](Raster Paint Clip)を選択します。

  2. Fx Tree ワークスペースの何もない領域を中央クリックして[ペイントクリップ]オペレータを挿入します。

    ヒント:[Fx Operator Selector]を使用すると、オペレータの出力接続を設定した後で Fx Tree に挿入できます。詳細については、「オペレータを取得する」を参照してください。
  3. オペレータをダブルクリックしてプロパティ エディタを開きます。

  4. オペレータのソース イメージまたはシーケンスのファイル名とパスを入力します。

    • イメージまたはシーケンスを読み込む場合は、ここに既存のイメージまたはシーケンスの有効なパスを指定します。

    オペレータのソース イメージまたはシーケンスを指定すると、オペレータのその他のプロパティはソース イメージのプロパティに基づいて更新されます。

    • ペイント クリップを空のままにしておいてゼロからペイントしたい場合は、新しいイメージの保存に使用する名前とパスを指定します。

    あるいは、ブラウスボタン(...)をクリックしてイメージまたはシーケンスを選択できるブラウザを開きます。

  5. 空のペイント クリップを作成している場合は、その他のプロパティを設定してクリップの属性を定義します。各種ペイントクリッププロパティの詳細については、「Paint Clip(ペイントクリップ)」(「Fx Operator Reference(Fx オペレータ リファレンス)」)を参照してください。

ラスター ペイント クリップのフレームを管理する

ラスター ペイントは、ペイント時にイメージのピクセルが描き換えられ、永久に元に戻せないという意味で破壊的です。ただし、ペイント時に変更内容をクリップに保存するまでの間は、クリップの元のフレームとすべてのペイント ストロークがキャッシュされます。変更されたフレームを元の状態に戻すことで、変更内容を元に戻せます。元に戻す操作は、静止画イメージでもイメージ シーケンスでも、すべてのペイント クリップに対して可能です。

ヒント:フレームを変更するたびに修正内容が保存されるように設定することもできます 詳細については、「フレーム変更時に変更内容を保存する」を参照してください。

ラスター ペイント クリップに対する変更内容を保存したり元に戻したりする操作は、[ペイントクリップ]オペレータのプロパティ エディタの[修正フレーム]タブで行えます。

A

[修正フレーム]タブでは、ペイントしたフレームの管理を行います。

B

修正フレーム リストには、変更したフレームのうち未保存のものがすべて一覧表示されます。フレームは番号で一覧表示されます。

C

[フレームの保存]コントロールでは、選択したフレームだけを保存することも、修正されたすべてのフレームを保存することもできます。

D

[変更を元に戻す]コントロールを使用すると、現在のフレーム、選択したフレーム、または修正されたすべてのフレームを元の状態に戻すことができます。

重要:

ラスター ペイント クリップに対する修正内容を保存するには、シーンを保存するという方法もあります。ただし、シーンを保存するとシーン内の全 Fx Tree の全ラスター ペイント クリップ内の全フレームに対する変更がすべて保存されるため、注意が必要です。

シーンを閉じる場合以外は、クリップに対する修正内容の保存は選択的に行う方法をお勧めします。

修正されたフレームを選択するには

  1. ペイントを行ったラスター ペイント クリップ オペレータを編集します(「ペイント オペレータを編集、プレビューする」を参照)。

  2. オペレータのプロパティ エディタの[修正フレーム]タブで、次のいずれかの操作を実行します。

    • フレームを 1 つクリックして選択します。

    • [Shift]キーを押しながら複数フレームをクリックし、選択に追加します。

    • [Ctrl]キーを押しながら複数フレームをクリックし、選択状態を切り替えます。

    • 複数のフレームをクリック アンド ドラッグして、それらのフレームをすべて選択します。

修正したフレームを保存するには

  • 次のいずれかの操作を実行します。

    • 前の手順で説明するように、保存したいフレームを選択し、[Save Frames] [Selected]ボタンをクリックします。

      選択したフレームに修正内容が保存され、元のピクセルが上書きされます。

      または

    • [保存][フレーム](Frames) [All Modified]ボタンをクリックします。

      修正されたすべてのフレームに修正内容が保存され、元のピクセルが上書きされます。

保存したフレームは、[修正フレーム]リストから削除されます。修正したフレームを保存すると、そのフレームは永久に変更され、そのフレームを基準に後続のペイント ストロークが追加されていきます。

たとえば、フレームにペイントして修正内容を保存し、再度ペイントしてから修正したフレームを元に戻した場合は、最初のペイント ストロークのセットが反映された状態のフレームが復元されます。

修正したフレームを元に戻すには

  • 次のいずれかの操作を実行します。

    • [変更を元に戻す](Revert Changes) 現在のフレーム(Current Frame)ボタンをクリックして、現在のフレームを前回保存した状態に戻し、キャッシュされた変更をすべて削除します。

      または

    • 元に戻すフレームを選択し(「修正されたフレームを選択するには」を参照)、[変更を元に戻す](Revert Changes) [選択を元に戻す](Revert Selected)ボタンをクリックします。選択したフレームは最後に保存されたときの状態に戻り、キャッシュされているすべての変更内容が削除されます。

      または

    • [変更を元に戻す](Revert Changes) 全フレーム(All Frames)ボタンをクリックして、変更されたフレームを前回保存した状態に戻し、キャッシュされた変更をすべて削除します。

元に戻したフレームは、[修正フレーム]リストから削除されます。

フレーム変更時に変更内容を保存する

フレームを変更するたびに修正内容が保存されるように設定することもできます。たとえば、シーケンスのフレーム 3 にペイントした後でフレーム 2 に移動すると、フレーム 3 に行った変更内容は自動的に保存されます。

フレームの変更時に修正内容を保存するには

  1. メイン メニューから[ファイル](File) [設定](Preferences)を選択して[設定](Preferences)ウィンドウを開きます。

  2. Explorer ペインで、[Compositing]を選択し、右側の[Compositing]プリファレンス プロパティ エディタを開きます。

  3. [ラスターペイント]タブで[時間変更でフレーム保存](Save Frames on Time Change)オプションを有効にします。

Explorer でのラスター ペイント クリップ

Explorer では、Fx Tree のラスター ペイント オペレータは、その他のすべて FX オペレータとともに[FxTree]ノードの直下に表示されます。