キャスティング オプションと可視性オプション

 
 
 

すべてのオブジェクトの可視性プロパティは、オブジェクトが反射レイ、透明度レイ、または屈折レイ、あるいはこれらすべてのレイに対してどのように反応するかを制御します。これらのレイタイプそれぞれに対して、可視性プロパティでは次の 2 つのパラメータを用意しています。

次の 3 つのセクションでは、各レイタイプでこれらのパラメータを切り替えた場合に、シーン内のオブジェクトにどのように影響を与えるかについて例を挙げています。これらのオプションの設定のの詳細については、「キャスティングオプションと可視性オプションの設定」を参照してください。

反射のキャスティングと可視性

オブジェクトが反射キャスタである場合、そのオブジェクトはシーンをサンプリングする反射レイをキャストします。オブジェクトのサーフェイスでは周りのオブジェクトが反射されます(周りのオブジェクトが反射レイに対して可視の場合)。もちろん、そのためには、オブジェクトのマテリアルである程度の反射率が定義されている必要があります(詳細は「反射率」を参照)。

     

この例では、銀色の球が反射キャスタです。他のオブジェクトは反射レイに対して、可視の場合は球のサーフェイスで反射しています。

銀色の球の[反射](Reflection)[キャスタ](Caster)パラメータをオフにすると、球が反射レイをキャストしないため、球のサーフェイスでは何も反射しません。

青い球の[反射](Reflection)[可視](Visible)パラメータをオフにすると、青い球は銀色の球がキャストする反射レイに対して可視されないため、銀色の球のサーフェイスで反射しません(ただし、青い球のシャドウは表示されます)。

透明度のキャスティングと可視性

オブジェクトが透明度キャスタである場合、そのオブジェクトはシーンをサンプリングする透明度レイをキャストします。オブジェクトのサーフェイスを通して周りのオブジェクトを見ることができます(周りのオブジェクトが透明度レイに対して可視の場合)。もちろん、そのためには、オブジェクトのマテリアルである程度の透明度が定義されている必要があります(詳細は「透明度」を参照)。

透明なオブジェクトに 1 以外の屈折率値が設定されている場合(つまり、ある程度の屈折が定義されている場合)、透明度のキャスティングと可視性のオプションは無視されます。代わりに、屈折のキャスティングと可視性のオプション(「屈折のキャスティングと可視性」を参照)を調整する必要があります。

     

この例では、銀色の球が透明度キャスタです。球の後方にあるオブジェクトが透明度レイに対して可視の場合は、球のサーフェイスを通して見えます。

銀色の球の[透明度](Transparency)[キャスタ](Caster)パラメータをオフにすると、球が透明度レイをキャストしないため、球のサーフェイスを通して何も見えません。

ジャッキと赤色の球の[透明度](Transparency)[可視](Visible)パラメータをオフにすると、ジャッキと赤色の球は銀色の球がキャストする透明度レイに対して可視されないため、銀色の球のサーフェイスを通して見えません(ただし、ジャッキと赤色の球のシャドウは表示されます)。

屈折のキャスティングと可視性

透明なオブジェクトに 1 以外の屈折率値が設定されている場合(つまり、ある程度の屈折が定義されている場合)、透明度のキャスティングと可視性のオプションは無視されます。代わりに、屈折のキャスティングと可視性のオプションを調整する必要があります。

オブジェクトが屈折キャスタである場合、そのオブジェクトはシーンをサンプリングする屈折レイをキャストします。オブジェクトのサーフェイスを通して周りのオブジェクトを見ることができます。周りのオブジェクトは屈折率に応じて適切に歪んでいます(周りのオブジェクトが屈折レイに対して可視の場合)。このように見えるようにするには、オブジェクトのマテリアルである程度の透明度が定義されている必要があります。また、オブジェクトの屈折率を 1 以外の値に設定する必要があります(詳細は、「透明度」を参照)。

     

この例では、銀色の球が屈折キャスタです。球の後方のオブジェクトが屈折レイに対して可視の場合は、球のサーフェイスを通して屈折して見えます。

銀色の球の[屈折](Refraction)[キャスタ](Caster)パラメータをオフにすると、球が屈折レイをキャストしないため、球のサーフェイスを通して何も見えません。

ジャッキと赤色の球の[屈折](Refraction)[可視](Visible)パラメータをオフにすると、ジャッキと赤色の球は銀色の球がキャストする屈折レイに対して可視されないため、銀色の球のサーフェイスを通して見えません(ただし、ジャッキと赤色の球のシャドウは表示されます)。

レイの可視性とシャドウ

オブジェクトを特定のレイ タイプ(反射、透明度、または屈折)に対して可視しない場合でも、そのオブジェクトは引き続きシャドウをキャストできます。キャストされたシャドウは、反射サーフェイスで、または透明なオブジェクトを通して表示されます。オブジェクトがシャドウをキャストできないようにするには、オブジェクトの[シャドウ](Shadow) [キャスタ](Caster)パラメータをオフにします。詳細については、「Shadow Casters and Receivers(シャドウ キャスタとレシーバ)」を参照してください。

   

ジャッキと赤色の球は、透明度レイに対して可視しない場合でも、引き続き床の上にシャドウをキャストします。キャストされたシャドウは透明度レイに対して可視されます。これらのシャドウは、銀色の球を通して見ることができます。

ジャッキと赤色の球の[シャドウ](Shadow)[キャスタ](Caster)パラメータをオフにすると、床の上のシャドウをキャストしません。どちらのオブジェクトのトレースも銀色の球を通して見ることができません。

キャスティングオプションと可視性オプションの設定

デフォルトでは、すべてのオブジェクトが反射レイ、透明度レイ、および屈折レイのキャスタであると同時に、これらのレイに対して可視されています。必要に応じて、これらのパラメータのうち任意のパラメータを無効にして、シーンの反射、透明度、または屈折、あるいはこれらすべてをさらに細かく制御することができます。

反射のキャスティング/可視性の切り替えは、複数のパスでシーンをレンダリングする場合に便利です。たとえば、各パスに表示される反射を指定できます。または、レンダリングの速度を高めるために、遠くにあるオブジェクトを反射レイに表示しないようにすることによって、前景オブジェクトが遠くにあるオブジェクトを反射しないようにすることができます。

反射のキャスティングまたは可視性、あるいはその両方を切り替えるには

  1. 反射のキャスティングまたは可視性、あるいはその両方を切り替えるオブジェクトを選択し、Explorer を開きます([8]キーを押します)。

  2. オブジェクトの階層を展開し、[Visibility]ノードをクリックして、オブジェクトの[表示/非表示]プロパティ エディタを開きます。

  3. [レンダリング]タブで、オブジェクトの[反射]、[透明度]、または[屈折]、あるいはこれらすべての属性の[キャスタ](Caster)または[可視](Visible)パラメータ、あるいはその両方を切り替えます。

反射、屈折、透明度キャスタ、レシーバのパーティションを作成する

シーンに多くのオブジェクトが含まれる場合は、キャスティングと可視性をオブジェクトごとに管理するのが難しくなります。複雑なシーンでは、オブジェクトのパーティションを作成し、オーバーライドを使用して、1 つのパーティション内のすべてのオブジェクトごとに反射、透明度、および屈折のキャスティングと可視性を管理する方が簡単です。このプロセスの詳細については、「パーティションのオブジェクトに対するレンダリングの可視性をオーバーライドする」を参照してください。