ヘアのライトとシャドウ
 
 
 

Softimage の他のオブジェクトと同様に、ヘアのレンダリングはシーンのライティング(照明)の影響を受けます。しかし、ヘアのライティングにおいて考慮すべき特殊な問題点がいくつかあります。

ライトの種類はヘアに影響しませんが、ライトの数は影響します。ヘアに使用するライトの数を極力少なくすると、良い結果が得られます。シーンに多数のライトが存在するが、ヘアにすべてのライトを使用したくない場合は、一部のヘアをライティングの対象外とすることができます。

ヘアの長短に応じたライトのシェーディング モデル

先端がライト方向を向くヘアに照射される光量は、ライトに対して髪束が垂直方向を向くヘアに照射される光量よりも少なくなります。この現象は、丸味のある形状にヘアを適用した場合に顕著に現れます。ライト方向を向くヘアのサーフェイスでは、ライトが照射される面積が少ないためです。ヘアを上下にコーミングしてみると、主にヘアのセンターにライトが照射されることがわかります。

同様に、ライトに対して垂直方向を向くヘア(通常はロング ヘア)は、そのサーフェイスにおけるライトの照射面積が広いため、ライトの影響を大きく受けます。

ヘアを適切にレンダリングするために、[Hair Shading]シェーダのプロパティ エディタの[レンダ設定]タブで、短いヘア用のシェーディング モデルと長いヘア用のシェーディング モデルのいずれかを選択できます。また、擬似法線と、下にある実際のヘア オブジェクトのジオメトリとの間のブレンドの量をコントロールすることができます。

これらのシェーディング モデルの詳細については、「レンダ設定」を参照してください。

ファイナル ギャザリングとヘア

ファイナル ギャザリングをシーンに設定している場合は、ヘアにも影響を与えるようにすることができます。ヘアに対するファイナル ギャザリングのエフェクトを決定するには、[Hair Shading]シェーダのプロパティ エディタの[間接照明]ページで、[ファイナル ギャザリング]>[カラー](Final Gathering - Color)値を設定します。

この値は、ヘアのサーフェイス上でのファイナル ギャザリングのカラーおよび明度(強度)をコントロールします。ファイナル ギャザリングからヘアに反映されるカラーは、ここで設定するカラー値に乗算され、トップに追加されます。この値を設定する場合は、ヘアがファイナル ギャザリングに大きく左右されることに注意してください。これは、何千もの小さなオブジェクトが短い距離で互いに色を発散し合っている状態だからです。

この[カラー]値をヘアに対して低く設定すると、[包括的な]ライトを、ヘアのシャドウにのみ関連付けることできます。このライトは、ファイナル ギャザリングの外観に影響しないように、きわめて暗く設定します。さらにヘアのスペキュラを強めて、暗いライトの中でヘアがより照らし出されるようにすることができます。ライトが暗いため、影の値を負にしてシャドウを十分に暗くする必要が生じる場合もあります。

また、このパラメータにテクスチャ マップを接続すると(「カーブに作成したヘアをテクスチャリングするためのサーフェイスの作成」を参照)、ヘア上の特定の場所にファイナル ギャザリングを表示することができます。

ファイナル ギャザリング全般の詳細については、「ファイナル ギャザリング」を参照してください。

シャドウとヘア

ヘアのシャドウをシーン内の他のオブジェクトに投影できます。さらに、シャドウが計算されるときに、ヘアに設定された透明度の値が考慮されます。

Softimage における他のオブジェクトと同様に、ヘアを使ったシャドウの投影は、使用しているライトの数と種類に左右されます。使用するライトに対して[シャドウ]が[有効]になっていることを確認してください。

  • 最良の結果を得るために、ライトの Umbra 値を 0.2 以上に設定してください。

  • セグメント シャドウを使用すると、レンダリング時間を短縮できる上にシャドウの品質も向上します。

ヘアのバウンディング ボリューム内部にある光源によってヘアにシャドウを投影させることができます。しかし、レイがヘアに当たる前にヘア以外のオブジェクトにさえぎられると、その部分ではヘアが表示されず、シャドウが作成されません。

シャドウ全般の詳細については、「シャドウ」を参照してください。

シャドウマップで作成するシャドウ

通常、シャドウマップされたシャドウはヘアの最適なパフォーマンスを実現します。mental ray では、Softimage の実際のジオメトリを使用してシャドウ マッピング用のデプス マップを作成します。この計算ではシェーダは考慮されません。

シャドウ マップを作成する場合は、不要なオブジェクトが必ずシャドウの計算対象から除外されるようにしてください。これにより、計算処理を相応に高速化させることができます。

また、シャドウ マップのサイズも重要です(特に、多数のディテールが使用されている場合)。シャドウ マップでは、適用範囲、サンプリング、およびサイズを抑える目的で、スポットライトがしばしば役立ちます。

ちらつきを解消するために、シャドウ マップのサンプリングを増やすことができます。この場合は、当然ながら、レンダリング時間が長くなります。レンダリング時間を短くする方法としては、シャドウ マップ エレメントをサンプリング解像度の低い別個のパスでレンダリングし、それをブラーさせてから、ヘア パスと合成します。

詳細については、「シャドウマップ シャドウを作成する」を参照してください。

ボリューム シャドウ マップ

また、ジオメトリ ヘアにボリューム シャドウ マップを使用すれば、より詳細に、奥行きをもたせることも可能です。ボリューム シャドウ マップには、レイマーチング法で発生する奥行きの変化に伴うカラーまたは強度の変化が格納されます。

詳細については、「 ボリューム シャドウ マップを作成する」を参照してください。

   

ヘアの通常のシャドウ マップで作成するシャドウ。

ヘアのボリューム シャドウ マップで作成するシャドウ。