レッスン 1: 基本的なスキン デフォメーションの設定

 
 
 

このレッスンでは、ボーンとジョイントを使用してマッスル デフォーマによって変形されるオブジェクトの設定方法を示します。基本的なスキン デフォメーション用のリグを準備し、メッシュに初期のウェイト付けを設定します。

注:

Maya skinCluster をオブジェクトに適用済みの場合は、このレッスンに似たワークフローに従って、これを変換してマッスルを簡単に使用できます。skinCluster をマッスル設定に変換する方法については、『Maya マッスル』マニュアルの「Maya スキンを Maya マッスルに変換する」を参照してください。

レッスンで使用するシーンを開く

  1. Lesson 1 フォルダから DragonLeg_Basic_Start.mb ファイルをロードします。

    このシーンには、脚の基本ポリゴン メッシュ、アニメートした単純な IK リグを設定したジョイント、バックグラウンドのライトが収められています。

  2. ディスプレイ レイヤ エディタ(Display Layer Editor) (チャネル ボックス(Channel Box)/レイヤ エディタ(Layer Editor) > ディスプレイ(Display)タブ)で、lyrSkin レイヤと lyrLIGHTS レイヤをオフにして(レイヤ ディスプレイの "V" をクリックしてオフ)スキンを非表示にし、下にあるリグを表示します。
    ヒント:

    + b (Windows)または + b (Mac OS X)ホットキーを使用してシーンビューでバックグラウンドのカラーを切り替えます。

  3. タイムラインをスクラブして、アニメーションを表示します。

    時間とともに脚が前後に移動するので、IK リグの基本セットアップを確認できます。基本的な Maya ジョイントに加えて、ヒップの骨と膝頭のポリゴン ボーン オブジェクトが 2 つあります。

マッスルを設定する

現在、このリグには安定したルート ジョイントがありません。スキニングにマッスル デフォーマを使用するため、Maya ジョイントではなくカプセル オブジェクトを作成してルートとして使用します。

カプセルは、実際のサイズや厚みがある点を除いては、ジョイントに似ており、スティッキー ウェイト付け用と実際のスライド エフェクト用の両方のジョイントとしてマッスル スキン デフォーマで使用できます。カプセルはボーンとして効果的に機能し、ポリゴン メッシュ ボーンよりも高速です。

カプセル オブジェクトを作成して設定するには

  1. マッスル > マッスル/ボーン > カプセルの作成(Muscle > Muscles/Bones > Make Capsule)を選択して、カプセル オブジェクトを作成します。

    カプセル オブジェクトが原点に表示されます。アウトライナ(Outliner)で、grpMUSCLES というグループが追加されていることがわかります。このグループにはすべてのカプセルとマッスルが保持され、リグの階層をクリーンな状態に維持するようになっています。

    注:

    カプセルはロケータであるため、カプセルを表示するには、シーン ビューの表示(Show)メニューのロケータ(Locators)をオンにしておく必要があります。

  2. マッスル > シンプル マッスル > マッスル パラメータの設定(Muscle > Simple Muscles > Set Muscle Parameters)を選択し、マッスル ビルダ(Muscle Builder)ウィンドウを開きます。

    マッスル パラメータ(Muscle Parameters)タブの上部では、カプセル、ボーン、マッスルの基本的なアトリビュートを編集できます。アトリビュート エディタ(Attribute Editor)またはチャネル ボックス(Channel Box)を使ってもこれらをコントロールできます。

  3. マッスル オブジェクト設定(Muscle Object Settings)で、カプセルの長さ(Length)の値を 4 に設定し、マッスル ビルダ(Muscle Builder)ウィンドウを閉じます。
    ヒント:

    マッスル オブジェクト設定(Muscle Object Settings)でカプセルのカラーを調整することもできます。

  4. カプセルを移動、回転し、図に示すように boneBlade オブジェクトのそばに配置します。これはルート オブジェクトに適した位置です。

    スキニング用にマッスル スキン デフォーマに接続できるのは cMuscleObject シェイプ ノードを含むオブジェクトだけであるため、すべてのジョイントとポリゴン ボーンを変換してこのノードを含める必要があります。

ジョイントをボーンに変換する

ジョイントごとに手動でカプセルを作成しなくても、Maya マッスルを使用すると、直接マッスル デフォーマに接続できるようにジョイントがカプセルに自動的に変換されます。変換したジョイントは、通常の Maya ジョイントとマッスルのカプセル オブジェクトの両方の機能を備えています。

  1. ドラゴンの脚のリグにあるすべてのジョイントを選択します。
    ヒント:

    アウトライナ(Outliner)ウィンドウ上部のフィルタ フィールドを使用して、すべての脚のジョイントをすばやく分離します。jnt* と入力して、その命名規則を使用している脚のジョイント オブジェクトのみを表示します。

  2. マッスル > マッスル/ボーン > サーフェスをマッスル/ボーンに変換(Muscle > Muscles/Bones > Convert Surface to Muscle/Bone)を選択します。

    サーフェスではなくジョイントを変換するため、ジョイントをカプセルに変換(Joint to Capsule Conversion)ウィンドウが表示されます。

    このウィンドウで、どの軸をリグのジョイントの長辺方向 に向けるかを設定します。Maya の既定は X ですが、このリグでは Y 軸でのより正確なジョイント回転軸を得るために、カスタムのジョイントの方向ツールを使用します。リギングの前に、このようなツールを使用してジョイントを設定することを強くお勧めします。

  3. ジョイントをカプセルに変換(Joint to Capsule Conversion)ウィンドウの Y 軸(Y-Axis)をクリックします。

    それぞれのジョイントがカプセル オブジェクトに変換されて、シェイプ ノードが含まれます。マッスル パラメータ(Muscle Parameters) (マッスル > シンプル マッスル > マッスル パラメータの設定(Muscle > Simple Muscles > Set Muscle Parameters))でカプセルのカラーと長さを調整できます。

    次に、リグのポリゴン ボーン オブジェクトを変換します。こうすることでスキニング用のマッスル デフォーマに接続されます。

  4. 膝蓋骨と肩胛骨のボーン オブジェクトを選択(Shift キーを押しながらクリック)してから、マッスル > マッスル/ボーン > サーフェスをマッスル/ボーンに変換(Muscle > Muscles/Bones > Convert Surface to Muscle/Bone)を選択します。

    ポリゴン メッシュ オブジェクトが変換されて新しい cMuscleObject シェイプ ノードに接続されます。

    シーンに視覚的な変更は見えませんが、新しいシェープのノードはチャネル ボックス(Channel Box)に表示されます。マッスル ビルダ(Muscle Builder)ウィンドウを使用してシェイプの表示をオンにし、カラーや他の設定を調整することもできます。強さ(Strength)の設定は 1.0 のままにしておいてください。

一連のジョイントとポリゴン メッシュ オブジェクトを変換して、マッスル スキン デフォーマを使用する準備が完了したので、これでスキン デフォーマを適用してマッスル オブジェクトを接続できます。

マッスル スキン デフォーマを適用する

これらの手順では、デフォーマを適用するメッシュだけを選択します。ボーンとマッスルは後から接続します。

マッスル スキン デフォーマを適用するには

  1. ディスプレイ レイヤ エディタ(Display Layer Editor)で lyrSkin レイヤをオンにし、シーン ビューでドラゴンの脚のスキン メッシュを選択します。
  2. マッスル > スキン セットアップ > マッスル システム スキン デフォーマを適用(Muscle > Skin Setup > Apply Muscle System Skin Deformer)を選択します。

    デフォーマが適用されるとウィンドウが表示され、後で使用する場合に備えてリラックス デフォーマの必要な情報が事前に計算されます。

    このプロセスが完了しても、ドラゴンの脚のメッシュには変化がないように見えますが、マッスル スキン デフォーマ ノードが適用されています。cMuscleSystem ノード アトリビュートは、チャネル ボックス(Channel Box)またはアトリビュート エディタ(Attribute Editor)で確認できます。

    この時点では、メッシュをアニメートしても、デフォメーション エフェクトは生じません。これは、ボーンとマッスルがスキン メッシュに接続およびウェイト付けされていないためです。次の手順で、すべてのカプセルとボーンを接続します。

マッスル オブジェクトを接続する

  1. フレーム 0 に移動すると、どのようにボーン/カプセルが既定のベース ポーズにあることがわかります。
  2. アウトライナ(Outliner)で以下を選択します。
    • 前のレッスンで作成したルート カプセル オブジェクト、カプセルに変換したすべてのジョイントを含むすべてのカプセル オブジェクト(muscleCapsule1)
    • 2 つのポリゴン ボーン オブジェクト(boneKneeCapRt と boneBlade)
    • スキン メッシュ(pSkinMesh)
  3. マッスル > マッスル オブジェクト > 選択したマッスル オブジェクトを接続(Muscle > Muscle Objects > Connect selected Muscle Objects)を選択します。

    すべてのボーンがマッスル デフォーマに接続されます。この時点では、タイムライン(Timeline)をスクラブしても、スキン メッシュにモーションは生成されません。これは、既定のスキン ウェイトを適用していないためです。

既定のウェイトを適用する

既定のウェイトをボーンとポリゴン メッシュ オブジェクトに適用することは、Maya skinCluster を使用したウェイト付けと似ています。スキンのポイントはカプセル/ボーンの移動時に一緒に移動します。

既定のウェイトを適用するには

  1. スキン メッシュ(pSkinMesh)を選択します。
    ヒント:

    ここでマッスル > マッスル ウェイトのペイント(Muscle > Paint Muscle Weights)からマッスル ペイント(Muscle Paint)ウィンドウをを開き、メッシュをペイント モードで表示すると、この後の手順が完了した時点でウェイトを確認することができます。

  2. マッスル > ウェイト付け > 既定のウェイトを適用(Muscle > Weighting > Apply Default Weights)を選択します。
  3. 表示される既定のウェイト(Default Weights)ウィンドウのウェイト(Weight)ドロップダウン リストでスティッキー(Sticky)を選択し、スムーズ(Smooth)の値を 3 に設定します。

    スムーズ(Smooth)値は、スムーズ操作に適用される反復回数を設定します。

  4. 既定のウェイトを適用(Apply Default Weights)をクリックします。

    これで既定のスティッキー ウェイトが適用されたので、タイムラインをスクラブすると、エフェクトが表示されるようになります。カプセル/ボーンを移動すると、スキン メッシュが移動します。

これで 1 番目のレッスンは終わりです。このレッスンの完成ファイルである DragonLeg_Basic_End.mb は、Maya マッスルの高度なテクニックのフォルダにあります。

レッスンを終えて

このレッスンでは、以下について学習しました。

これでドラゴンの脚のメッシュの既定のウェイトを洗練させる準備が整いました。次にマッスル ペイント(Muscle Paint)ウィンドウを使用してウェイトをペイントします。