レンダ領域を使ったインタラクティブなプレビュー
 
 
 

レンダ領域を使用すれば、シーンにあるセクションやオブジェクトのレンダリング結果をすばやく簡単に表示できます。プレビューを設定して開く代わりに、3D ビュー上にレンダ領域を作成するだけで、最終レンダリングでシーンがどのように表示されるかを確認することができます。各ビューに、それぞれ独自のレンダ領域を独自の設定で作成できます。

レンダ領域は最終レンダリング時と同じレンダラを使用できるため、最終出力品質でプレビューをレンダリングするように領域を設定できます。これにより、非常に精度の高いプレビューが可能となり、最終レンダリング後のシーンの外観がどのようになるのかを確認することができます。

レンダ領域はサイズ変更したり移動することができます。また、領域内のオブジェクトやエレメントを選択し、そのプロパティを変更してプレビューを最適化することができます。領域内の表示内容とは無関係に、オブジェクトのレンダリング プロパティに変更を加えると継続的に表示が更新されます。このエリアが更新されるのは、オブジェクト、カメラ、ライト プロパティの変更時、レンダ オプションの調整時、またはテクスチャやシェーダの適用時だけです。

レンダ領域が更新されると、レンダリング イメージが存在する領域内に一連のタイルが配置されていきます。シーンにあるオブジェクトの外観に影響を与えるプロパティを変更するたびに、この領域は自動的に更新されます。領域の更新が終わるまで待たなくても、シーンに追加の変更を加えることができます。つまり、変更が現在の更新に割り込み、たった今変更した内容が反映されるように更新が再開されます。これにより、プロパティ上でインタラクティブな調整を行うことが可能となります。

オプションを追加するには(A)を、格納および比較するには(B)を、領域を非表示にするには(C)をクリックします。

レンダ領域の作成

任意の 3D ビューで、インタラクティブにレンダリングするオブジェクトの周りにあらゆる大きさの四角形を描画できます。どのビューでも一度に描画できるレンダ領域は 1 つだけですが、各ビューポートまたは[Object View]ウィンドウには、それぞれ個別の領域があります。

レンダ領域を作成するには

  1. 次のいずれかの操作を実行します。

    • [レンダ]ツールバーから[レンダ](Render) [領域](Regions) [領域ツール](Region Tool)を選択して、レンダ領域モードを有効にします。

      レンダ領域モードに切り替わると、マウス ポインタが内側に球が付いた四角形になります。これで、任意の 3D ビューで領域を定義できるようになりました。

      または

    • [Q]キーを押してレンダ領域ツールを有効にします。

  2. 3D ビューを斜めに横切るようにマウス ポインタをドラッグし、レンダ領域を作成します。領域は黄色の境界線と青いサイズ変更ハンドルのあるボックスとして描画されます。

  3. マウス ボタンを離すと、領域が描画され、領域内に表示されているものはすべてレンダリングされます。

    レンダリング時には、連続するタイルがレンダ領域全体に表示されます。各タイルのコーナーの輪郭は括弧でふちどられますが、これは、描き換えられるたびにどのタイルが更新されるのかを示しています。シーンの表示が変わるような変更を行うと、レンダ領域内に表示されている部分のみがレンダリングされます。

    はじめからやり直したい場合は、目的の場所に新しいレンダ領域を描画します。

  4. レンダ領域ツールを無効にするには、[Esc]キーを押します。

注:
  • レンダ領域の表示のオンとオフを切り替えるには、[Shift]+[Q]キーを押します。

  • 現在のレンダ領域を削除するには、[Q]キーを押してレンダ領域ツールを有効にし、ビューをクリックします。

  • 再生中にレンダ領域が更新されるようにするには、[すべてのフレームを再生](Play All Frames)([再生]パネル上の[すべて](All))を有効にする必要があります。レンダ領域は[リアルタイム再生](Real-Time Playback)モード([RT])では更新されません。

レンダ領域の比較

レンダ領域にはメモ領域があり、そこで設定を保存、比較、リコールできます。これらはビューポートのメモカムに似ています(ただし、シーンには保存されません)。

A

左側には保存された領域が表示されます。

B

右側には現在の設定が表示されます。

C

中央クリックすると保存、クリックすると表示できます。現在表示されているキャッシュは白色でハイライトされます。右クリックで他のオプションを選択できます。

D

三角形のボタンをドラッグして、どちらかのイメージを大きくまたは小さく表示します。

重要:レンダ領域を比較する場合は、注意が必要です。マテリアルを調整したり、パラメータをレンダリングする場合のみ比較を行うようにしてください。シーンにその他の変更を加える場合は比較を行わないでください。意図的かそうでないかに関わらず、前の設定に戻すと、それまでに追加したモデリング、アニメーション、その他の変更がすべて失われてしまいます。

現在の領域を保存するには

  • メモ領域ボックスを中央クリックします。

    領域の左側に、ピクセルがキャッシュされ、表示されます。設定を変更するとすぐに、変更内容が右側に表示されます。

    領域内のピクセルのみがキャッシュされます。領域を移動したりサイズ変更すると、他のピクセルが白色と黒色の点で塗りつぶされます。

    キャッシュされたピクセルが表示されるメモ領域ボックスは白色でハイライトされ、キャッシュされたピクセルがあるその他のボックスはオレンジ色でハイライトされます。

保存された領域を表示し、現在の設定と比較するには

  • オレンジ色のメモ領域ボックスをクリックします。

現在の設定のみを表示するには

  • 白色のメモ領域ボックスをクリックします。

保存した設定にシーンを戻すには

  • オレンジ色または白色のメモカム ボックスを右クリックし、[シーンをこの設定に戻す](Revert Scene to Here)を選択します。

レンダ領域の表示モードの設定

レンダ領域のディスプレイ モードによって、レンダ領域に表示されるチャンネルが決まります。たとえば、RGB チャンネルやアルファ チャンネルなどを表示することができます。

レンダ領域のディスプレイ モードを設定するには

次のいずれかの操作を実行します。

  • すべてのレンダ領域を変更するには、[レンダ]ツールバーの[レンダ](Render) [領域](Regions) [表示](Display)メニューからアイテムを選択します。

    または

  • 特定の領域を変更するには、領域の左上にある三角形をクリック(または領域の境界線の上を右クリック)し、[表示](Display)メニューから項目を選択します。

    • [アルファブレンド済み RGB](Alpha-blended RGB): アルファ チャンネルを使用して、シーン上にオーバーレイされた RGB チャンネルを表示します。

    • [RGB]: RGB チャンネルのみを表示します。

    • [アルファ](Alpha): シーンのアルファ チャンネルをレンダ領域に表示します。これは、特に複雑なアルファ チャンネルを設定している場合に、それが適切かをすばやくチェックするときに役立ちます。

    • [赤](Red): 赤のチャンネルのみを表示します。

    • [緑](Green): 緑のチャンネルのみを表示します。

    • [青](Blue): 青のチャンネルのみを表示します。

レンダ領域でレンダ チャンネルを表示する

レンダ領域には、シーンに使用できる組込み、プリセット、またはカスタムのレンダ チャンネルを表示できます。レンダ チャンネルの設定方法については、「レンダ チャンネルについて」を参照してください。

レンダ領域にレンダ チャンネルを表示するには

次のいずれかの操作を実行します。

  • すべてのレンダ領域を変更するには、[レンダ]ツールバーの[レンダ](Render) [領域](Regions) [レンダチャンネル](Render Channel)メニューからアイテムを選択します。

    または

  • 特定の領域を変更するには、領域の左上にある三角形をクリック(または領域の境界線の上を右クリック)し、[レンダチャンネル](Render Channel)メニューから項目を選択します。

レンダ領域内のオブジェクトの追跡

シーンでの作業中にレンダ領域のサイズと位置を毎回調整する手間を省いて、オブジェクト、階層、オブジェクトのグループ、あるいはオブジェクトの一部(クラスタ)を追跡するようにレンダ領域を設定できます。

オブジェクトを追跡するようにレンダ領域を設定するには

  1. エレメントを選択し、フレーム範囲でエレメントの動きを十分にカバーする大きさの領域を描画します。

  2. 次のいずれかの操作を実行します。

    • すべてのレンダ領域でトラッキングするには、[レンダ]ツールバーの[レンダ](Render) [領域](Regions) [選択のトラック](Track Selection)を選択します。

      または

    • 特定の領域で追跡するには、領域の左上にある三角形をクリック(または領域の境界線の上を右クリック)し、[選択のトラック](Track Selection)を選択します。

オブジェクトが移動すると、選択されたエレメントを含むボックスのピクセルだけがレンダリングされます。別のオブジェクトを選択すると、新しい選択オブジェクトをレンダ領域が追跡するようになります。

ヒント:オブジェクトの小さな部分を処理していて、オブジェクト全体ではなく特定のエリアをトラックしたい場合は、オブジェクト上のクラスタまたはタグ付きポイントを選択し、[レンダ](Render) [領域](Regions) [選択のトラック](Track Selection)をクリックします。これにより、オブジェクトの選択された部分のみが追跡されるようになります。

選択したオブジェクトのレンダリング

レンダ領域内のすべてをレンダリングせずに、選択したオブジェクトのみをレンダリングすることができます。これを実行するには、レンダ領域オプションで[選択のみレンダ](Render Selection Only)を有効にします。See レンダ領域オプションの設定.

選択したオブジェクトのみをレンダリングするようにレンダ領域を設定するには

  1. レンダリングするオブジェクトを選択します。

  2. 領域の左上にある三角形をクリック(または領域の境界線の上を右クリック)し、[オプション](Options)を選択します。[レンダ領域オプション]プロパティ エディタで、[選択のみレンダ](Render Selection Only)を切り替えます。

選択したオブジェクトだけがレンダリングされるようになります。

レンダ領域の移動とサイズ変更

3D ビューでレンダ領域のサイズを変更したり、移動したりするには、レンダ領域の境界線をドラッグします。レンダ領域で実行する操作に応じて、マウス ポインタの形が変わります。レンダ領域の位置とサイズは、3D ビューのレイアウトとサイズに制限されます。

領域を移動するには

  1. レンダ領域のバウンディング ボックスの境界線上にポインタを置きます。ポインタの形が 4 方向を指す矢印に変わります。

  2. 目的の方向にポインタをクリック アンド ドラッグして領域を移動します。位置が決まったらマウス ボタンを放します。これでレンダ領域が更新されます。

領域のサイズを変更するには

  1. レンダ領域のコーナー、または境界線上の青い四角形のいずれかにポインタを置きます。ポインタの形が方向矢印に変わります。

  2. ポインタをクリック アンド ドラッグして領域のサイズを変更します。マウス ボタンを離すとレンダ領域が更新されます。

レンダ領域を非表示にする

何回かにわたり連続してシーンを変更する際に、レンダ領域が毎回更新されて開き直されることがわずらわしい場合があります。そこでレンダ領域を非表示にしてみましょう。

レンダ領域を非表示にするには

  • 次のいずれかの操作を実行します。

    • 目的のビューの上にマウス ポインタを置き、[Shift]+[Q]キーを押します。もう一度[Shift]+[Q]キーを押すと、非表示にする前の設定に従ってレンダ領域が再表示されます。

      または

    • レンダ領域ツールを有効にしてビューを中央クリックします。もう一度中央クリックすると、領域が再表示されます。

      または

    • 領域の左上にある X をクリックします。

      または

    • 領域の左上にある三角形をクリック(またはレンダ領域の境界線の上を右クリック)し、[領域を非表示](Hide Region)を選択します。

すべてのレンダ領域を非表示/再表示するには

  • [レンダ]ツールバーから[レンダ](Render) [領域](Regions) [表示/非表示](Hide/Unhide)を選択します。

    表示されている領域は非表示になります。表示されている領域がない場合は、すべての領域が表示されます。

レンダ領域を閉じる

一度レンダ領域が定義されると、レンダ領域ツールはアクティブになったままになります。画面のどこかを一度クリックするとレンダ領域が閉じます。レンダ領域でレンダリングが終了するのを待つ必要はありません。

既存のレンダ領域の上に新しいレンダ領域をドラッグすると、古いレンダ領域が閉じ、新しいレンダ領域がレンダリングされます。

ヒント:レンダ領域モードを無効にするには、[Esc]キーを押します。

レンダ領域オプションの設定

レンダ領域では、最終出力時と同様にシーンがレンダリングされます。そのため、レンダ領域に設定されたレンダ オプションにより、最終的にレンダリングされるシーン(現在のパスまたはレンダ チャンネル)がどのように表示されるかを、正確にプレビューできます。

レンダ領域では独自のレンダラ オプションのセットを使用しています。これらのオプションはそのレンダ領域だけに影響し、最終レンダリングでは使用されません。必要に応じて、さまざまなコピー コマンドを使用して、レンダ領域設定と最終出力レンダラ設定を同じにすることができます。See レンダオプションのコピー.

レンダ領域でシーンを変更した内容は、インタラクティブな操作でプレビューできます。「調整 > プレビュー > 再調整」という作業サイクルをスピードアップするには、領域のレンダ オプションを使用して表示を最適化します。

レンダ領域のプロパティ エディタを開くには

  • 次のいずれかの操作を実行します。

    • 1 つにまとめられたプロパティ エディタを開き、すべてのレンダ領域に影響する設定を指定するには、[レンダ]ツールバーから[レンダ](Render) [領域](Regions) [すべてのオプション](All Options)を選択します。

      または

    • 最後にクリックした場所(白い枠で表示)のプロパティ エディタを開き、そこに影響する設定のみを指定するには、[レンダ]ツールバーから[レンダ](Render) [領域](Regions) [アクティブなビューポートのオプション](Active Viewport Options)を選択します。

      または

    • 特定の領域にオプションを設定するには、領域の左上にある三角形をクリックするか、領域の境界線上を右クリックし、[オプション](Options)を選択します。

    • Explorer で、スコープを[アプリケーション](Application)に設定して[Views]ノードを展開します。[ViewA]、[ViewB]、[ViewC]の下に表示される[レンダ領域オプション](Render Region Options)ノードをクリックします。

レンダラ オプションを設定するには

  • [レンダ領域オプション]プロパティ エディタで、次のいずれかを実行します。

    • 現在のパスに使用されているのと全く同様に定義されたレンダラ オプションを使用する場合は、[現在のパスのオプションを使用](Use Current Pass Options)チェックボックスをオンにします。レンダラ オプションはプロパティ エディタに表示されず、そのまま使用されます。

      または

    • [領域レンダラ](Region Renderer)設定に基づいたレンダラ オプションを使用する場合は、[現在のパスのオプションを使用](Use Current Pass Options)チェックボックスをオフにします。レンダラ オプションはプロパティ エディタに表示され、必要に応じて設定できます。

レンダ領域オプションの詳細については、「[レンダ領域オプション]プロパティ エディタ」(「プロパティ リファレンス」)を参照してください。

レンダ領域の精度を設定するには

mental rayレンダラを使用している場合、領域の境界線の右側にあるスライダを使用して、レンダリング精度(サンプリング レベル)をすばやく設定することができます。

  1. 領域の境界線の右側にある青い四角形の上にマウス ポインタを置きます。[最大サンプル数](Max Sample)スライダが表示されます。

  2. スライダを下方向にドラッグするとサンプリング レベルの最大値が下がり、領域のレンダリング速度が上がります。

サンプリング レベル設定の詳細については、「エイリアシングの制御」を参照してください。

レンダ領域の更新

既定では、領域を修正したりシーンのプロパティを変更したりするたびに、レンダ領域が自動的に更新されます。領域を手動で更新するように設定すると、シーン エレメントを移動、サイズ変更、または変更を適用したときに、領域の更新を最適化することができます。

コースティクスやモーション ブラーのように、非常に大量のレンダリング計算を必要とするような変更を何回も行った場合は、領域の自動更新を無効にする必要があります。これらのオプションを設定し、シーンを変更した後で、レンダ領域を更新することができます。

自動更新を無効にするには

  1. 次のいずれかの操作を実行します。

    • すべてのレンダ領域を変更するには、[レンダ]ツールバーの[レンダ](Render) [領域](Regions) [自動更新](Auto-Refresh)を選択します。

      または

    • 特定の領域を変更するには、領域の左上にある三角形をクリック(または領域の境界線の上を右クリック)し、[自動更新](Auto-Refresh)を選択します。

  2. シーンに対して必要な変更を行う、または、レンダ領域オプションの設定を変更します。

  3. 変更結果を確認するには、領域を更新します。

    • すべてのレンダ領域を更新するには、[レンダ]ツールバーの[レンダ](Render) [領域](Regions) [更新](Refresh)を選択するか[F5]キーを押します。

      または

    • 特定の領域を更新するには、領域の左上にある三角形をクリック(または領域の境界線の上を右クリック)し、[更新](Refresh)を選択します。

      ヒント:レンダ領域上にマウス ポインタを置いたまま右クリックをして、更新をトリガーすることもできます。
  4. いつでも好きなときに[自動更新](Auto Refresh)を選択して、再び有効にすることができます。

注:レンダ領域が[自動更新]に設定されていない場合は、領域の輪郭が黄色ではなく赤色で表示されます。

レンダ領域をファイルに保存する

後で使用するためにレンダ領域の内容を取り込みたい場合は、静止イメージとしてレンダ領域を保存できます。領域内のコンテンツは、指定したディスプレイ モード設定にしたがって表示されたとおりにディスクに保存されます。たとえば、ディスプレイ モードに[RGB のみ](RGB Only)を選択した場合は、出力されるファイルにはアルファ チャンネルは書き出されません。

レンダ領域を保存するには

  1. 3D ビューにレンダ領域を描画します。

  2. ディスプレイ モードを設定して、ファイルに保存するカラー チャンネルを指定します。See レンダ領域の表示モードの設定.

  3. 領域の左上にある三角形をクリック(または領域の境界線の上を右クリック)し、[名前を付けて保存](Save As)を選択します。

  4. ブラウザを使用して、イメージのディレクトリ、フォーマット、およびファイル名を選択します。

注:レンダリングが完了する前にレンダ領域を保存できますが、その場合は完成した部分のみが保存されます。

レンダ領域のプリファレンスの設定

レンダ領域のプリファレンスは、レンダリングのプリファレンスの一部です。プリファレンスでは、追跡オブジェクトの選択状態、自動更新の状態、およびレンダ領域のディスプレイ モードを設定できます。

レンダ領域のプリファレンスを設定するには

  1. プリファレンスウィンドウを開くには、メイン メニューから[ファイル](File) [Preferences]を選択します。

  2. Explorer から[レンダリング](Rendering)を選択して、右ペインに[レンダリング]プロパティ エディタを開きます。

  3. 必要に応じて、[領域設定](Region Settings)を設定します。See レンダリング設定.