シーンやイメージのダイナミック レンジは、最も暗い部分と最も明るい部分の間の明度値域です。一般的には、通常のカメラではシーンの全範囲のダイナミック レンジを取り込めず、通常のイメージはそれを表現することができません。これは、シーンのカラー成分値が十分な範囲をカバーできないためです。
[High Dynamic Range(HDR)]イメージでは、同一シーン内の複数の露光を 1 つのイメージ ファイルの中で組み合わせて使用し、この問題を解決しています。これにより HDR ファイルは、標準のイメージよりもはるかに広範囲のイルミネーションを保持します。このため、実世界のライティングを正確に表現できます。
シーン内の光量はほとんど無限に近いため、HDR イメージは、低ダイナミック レンジのイメージよりもかなり大きなカラー成分値(例: RGBA)を保存可能である必要があります。HDR イメージでは、8 ビット イメージのようなカラー成分値を 0~255 の間の整数ではなく、0~100000 以上の範囲の浮動小数点値(1.23123 のような小数点値)として保存します。これにより、HDR イメージのピクセル値は実世界の光量と正確に一致します。
Softimage で使用する HDR イメージは、Softimage と mental ray の両方でサポートされている複数のフォーマットのうちいずれかで保存する必要があります。サポートされているフォーマットへのイメージの変換については、次の「Softimage 用の HDR イメージを作成する」セクションを参照してください。サポートされているフォーマットは次のとおりです。
よく使用されるフォーマットは[mental ray カラー テクスチャ(.ct)](mental ray color texture (.ct ))です。.ct イメージは、非常に大きくなる傾向があり、mental ray でメモリに読み込まれると、レンダリング時間が長くなる場合があります。.ct ファイルは、8 ビット深度、16 ビット深度、または浮動小数点ビット深度で保存できます。
mental ray では [mental ray memory mapped texture(.map)] イメージを完全にロードするのではなくメモリにマップするため、メモリまたはレンダリング時間、あるいはその両方が問題になったときに使用するイメージとして .map イメージは最適です。イメージが大量にある場合は特に、レンダリング時間が節約でき、ディスク スワッピングが減少します。.map ファイルは、8 ビット深度、16 ビット深度、または浮動小数点ビット深度で保存できます。
.mapファイルの詳細については、「メモリ マッピング テクスチャを使用する」(「テクスチャリング」)を参照してください。
[HDR(.hdr)](HDR (.hdr)) は、広く使用されているハイ ダイナミック レンジ イメージ フォーマットで、非常に小さなファイルを作成することができます。ただし、このフォーマットではアルファ チャネルをサポートしていないため、使ってイメージを編集する予定がある場合は、別のフォーマットを使用する必要があります。.hdr ファイルは、Fx Tree で使用するだけでなく、イメージ クリップのプロパティ エディタで[露出時間]設定を使用して輝度を調整することができます。.hdr ファイルは浮動小数点ビット深度で保存されます。
[OpenEXR(.exr)](OpenEXR (.exr))イメージには、高精細でありながらコンパクトであるという利点があります。.exr ファイルは、Fx Tree で修正するだけでなく、イメージ クリップのプロパティ エディタで[露出時間]設定を使用して輝度を調整することができます。.exr ファイルは、16 ビットの浮動小数点(半分)または 32 ビットの浮動小数点のビット深度で保存できます。
お使いの HDR イメージを Softimage で使用する前に、イメージを別のフォーマットに変換しなければならない場合があります。このような変換は、imf_copy スタンドアロンを使用して行うことができます。
変換するファイルが保存されているフォルダのパスを入力します(例: C:¥projects¥myproj¥pictures)。
イメージを変換するには、次のコマンドを入力します(1 行で入力してください)。
imf_copy[-v][-p]inimage outimage[outformat[outtype]] imf_copy -v myhdrimage.tif myhdrimage_test.map map rgba_fp.mapから.ctや.ctから.exrなどの、他のイメージ変換に imf_copy を使用することもできます。
imf_copy コマンドの詳細を参照するには、コマンド プロンプトでimf_copy -hと入力してコマンドの使用法を表示するか、「スタンドアロン」を参照してください。
Softimage で HDR イメージを使用することは、HDR イメージのソース インスタンスとクリップ インスタンスを作成することと同じです。HDR イメージのイメージ マネージメント モードを[ディスクから使用](Use From Disk)または[ブロードキャスト](Broadcast)に設定するのが一番良いでしょう。どちらのモードもイメージ名とパスをメモリにロードするのではなく、mental ray に直接渡します。
イメージ管理モードの詳細については、「ガンマ補正の表示とレンダリング」を参照してください。
.hdr フォーマットまたは .exr フォーマットで保存された HDR ファイルで作業をしている場合は、Softimage のいくつかの場所から露出を調整して、表示ガンマを補正できます。
.hdr イメージまたは .exr イメージからイメージ クリップを作成した場合は、このセクションで説明しているように、イメージ クリップのプロパティ エディタから露出と表示ガンマを調整できます。
[入力ファイル]オペレータを介して .hdr イメージまたは .exr イメージを Fx Tree に読み込んだ場合は、[入力ファイル]プロパティ エディタからイメージの露出と表示ガンマを調整できます(「[File Input]プロパティを設定する」(「コンポジットとエフェクト」)を参照)。
スタンドアロン フリップブックで .hdrイメージまたは .exrイメージをプレビューしている場合、フリップブックの[Display Options]ダイアログ ボックスからイメージの露出と表示ガンマを調整できます(「 フリップブックでアニメーションをプレビューする」(「表示と再生」)を参照)。
[.hdr]または .exr イメージ クリップの露出や表示ガンマを調整するには
イメージ クリップのプロパティを編集します(「イメージクリップのプロパティの編集」を参照)。
[HDR と OpenEXR](HDR and OpenEXR) [ガンマ表示](Display Gamma): イメージ フォーマットが.hdrまたは .exr の場合、表示目的でのみガンマ補正が実行されます。たとえば、2.2 は、モニタでイメージを表示するための値を補正します。
[露出](Exposure) [露出時間(F ストップ)](Exposure (f-stop)): イメージフォーマットが .hdr または .exr の場合、露出が補正されてイメージが明るくまたは暗くなります。
露出値は F ストップ単位で測定されます。0 の値がイメージのデフォルトの露出時間となり、プラスまたはマイナス方向に F ストップ単位の数値を指定することにより、ゼロ以外の値がデフォルト値を補正します。