オーバーライドは、現在のパラメータ値を一時的に置き換える場合に使用します。各オブジェクトの個々のパラメータ値を保持したままで、グループ、レイヤ、パーティションの 1 つまたは複数の特定パラメータをコントロールする場合に役立ちます。
たとえば、ポリゴン メッシュ オブジェクトのグループがあり、各オブジェクトの[ジオメトリ アプロクシメーション]プロパティにそれぞれ異なるサブディビジョン レベルが適用されていると仮定します。[OGLレベル]パラメータはすべて一緒にコントロールしたい反面、個々の[レンダ レベル]パラメータは変更したくないとします。[ジオメトリ アプロクシメーション]パラメータをグループに適用すると、プロパゲーションによってすべての[ジオメトリ アプロクシメーション]パラメータが影響を受けることになります。しかし、オーバーライドを使用すれば、必要なパラメータだけを選択して単独で変更できます。
オーバーライドは、個々のオブジェクト、階層(ブランチ モード)、モデル、グループ、およびレイヤに適用できます。ただし、あるパーティションのすべてのオブジェクトの特定プロパティ(たとえば透明度やシャドウ設定などのほか、マテリアル全体も可能)を一度にコントロールできるという理由から、レンダリング パスに特に有効です。
オーバーライドには、個々のパラメータを含めることも、プロパティ セットおよびマテリアルの全体を含めることもできます。
プロパティ セットとマテリアルのオーバーライドはモデルに適用できます。たとえば、あるモデルに対して行った変更を、同じモデルの別のバージョンに転送できます。
プロパティ セットおよびマテリアル オーバーライドでは、モデル内のオブジェクト名を使用して、オブジェクトのオーバーライドの対象プロパティが識別されます。たとえば、モデルの body.geomapprox のオーバーライドを作成し、そのオーバーライドを Model1 に転送する場合は、Model1 の [body] というオブジェクトの[ジオメトリ アプロクシメーション]プロパティがオーバーライドされます。
また、レンダ パスのパーティションでのオーバーライドの使用方法については、「パーティションにプロパティを適用およびオーバーライドする」(「レンダリング」)を参照してください。
オーバーライドのプロパゲーションのルールは、プロパティの場合と同じです。たとえば、オブジェクトのローカル プロパティは、ブランチ プロパティのオーバーライドより優先されます。プロパゲーションの詳細については、「プロパティのプロパゲーション」を参照してください。
Explorer では、オーバーライド ノードは緑色の背景に「O」という文字の付いたアイコンで表示されます。さらに「B」の文字が付いている場合は、オーバーライドがブランチで適用されていることを示します。
プロパティ エディタでは、オーバーライドによるコントロール対象のパラメータのアニメーション アイコンは、水色の背景に黒い三角形で表示されます。アイコンを右クリックして[オーバーライドのインスペクト]を選択すると、オーバーライドのプロパティ エディタが開きます。
オーバーライドでは特定のプロパティ セットを頻繁に使用するため、これらのプロパティを含むオーバーライドを作成するための特殊なコマンドが用意されています。