ポスト プロダクションの形成を必要としないレンダリングを実行するときは、透明度に特別な配慮は必要ありません。何らかの透明度シェーダを追加するだけで、mental ray によって正しくレンダリングされます。
ただし、イメージのポスト プロダクション作業を開始し、複数のフレームバッファにレンダリングする際は、mental ray の組み込み深度およびモーション ベクトル フレームバッファを使用している場合でも、透明度の処理方法を特別に考える必要があります。
一般に、mental ray はそのフレーム バッファのデータを視線レイから収集します。視線レイとは、カメラで撮影される最初のオブジェクトにヒットするレイです。そのため、Z 深度やモーション ベクトルなどはこの最初のオブジェクトから得ることになります。
ここで、ヒットした最初のオブジェクトが完全に透明だった場合はどうなるでしょうか。または、オブジェクトの一部が透明の場合もあるでしょう。たとえば、平面にマップされた木のイメージなどが不透明度マスクで切り取られ、家の正面に立っているような場合です (平面イメージを使用して複雑なオブジェクトを表現することは、「カード」に物を重ねることとして知られていることがシェーダという名前の由来です)。
透明度に関連する他のシェーダを使用するときは、最終レンダリングでは木が正しく見え、枝の間から家が見える状態であったとしても、ほとんどの場合 Z 深度(および他のフレームバッファ)は平面の深度を含むことになります。たいていの後工程の作業では、これは望ましくありません。
この問題を解決するために、mental ray API には mi_trace_continue という機能が備わっています。この機能は最初のオブジェクトにヒットしたときの交差がなかったかのように、レイを継続します。カード/不透明度(mip_card_opacity)シェーダはこの機能を内部的に使用し、「標準」の透明度と mi_trace_continue の使用を切り替えて、与えられたしきい値で透明オブジェクトを作成します。
このシェーダの[input]パラメータ ポートはオブジェクトのカラーです。