シミュレートされたクロスまたはカーブ オブジェクトを作成するための最初の手順は、正確なジオメトリ コンストラクションと解像度を使用して、シミュレーション用の正確なサイズのジオメトリを作成することです。これはシミュレーションのクロスまたはカーブの変形方法に大きく影響します。
このセクションのヒントのほとんどはクロス オブジェクトに当てはまりますが、いくつかの一般的なヒントはカーブにも適用できます。
Syflexミュレーションを設計する際には、Softimage 単位とシーンオブジェクトのスケールを常に念頭に置いてください。他のシミュレーション計算の場合と同様に、Syflexがシミュレートされたデフォーメーションの作業でもスケールはきわめて重要です。開始する前に、ワールドで Softimage 単位が意味する測定単位(1 m、10 cm、1 cm、1 フィートなど)を定義する必要があります。また、この測定単位に基づいてオブジェクトをモデル化し、この測定単位をオブジェクトの質量または密度にも反映させる必要があります。
たとえば、1 辺が 1 単位で質量が 1 kg の立方体を作成する場合は、1 Softimage 単位を 1 cmにすると非常に密度の高い立方体になります。一方、1 Softimage 単位を 100 m にすると、立方体はサッカーグラウンドのように大きく、空気よりも軽い 1 kg になります。
シミュレーションは集約的な計算を用いて物理法則に習うため、いくつかの制限があります。質量がほぼゼロの小さなクロス オブジェクトの使用は避ける必要があります。これは、必要な計算を行うとシミュレーションに数値エラーが生じる可能性があるためです。
最適な結果を得るには、すべてのポリゴンとエッジが互いにほぼ同じサイズになるように、クロスジオメトリを可能な限り均一なものにする必要があります。これは、シミュレーションではすべてのエッジがスプリングになり、ポリゴンのせん断を防ぐために筋交いのスプリングが追加されるからです。ポリゴンを標準化すればするほど、スプリングがより標準的になり、結果の予測がより容易になります。
クロス スプリングの詳細については、「Syflex スプリング フォースを使用する」を参照してください。
ポリゴンのサイズは、作成するクロスの種類にとって重要です。たとえば、レザーのような重い布地には大きなフェイスが適しており、シルクには小さなフェイスが適しています。
四角形のポリゴンは、三角形のポリゴンよりもクロスに適しています。四角形のポリゴンを使用すると、より予想どおりにスプリングを曲げることができます。
エッジを単純にします。エッジの数が少ないほど、自己貫入の防止が容易になります。トーン エッジが必要な場合は、モデリングする代わりにテクスチャとして追加することをお勧めします。
クロス オブジェクトに穴をモデリングすることはお勧めしません。これを行うと、クロスが実際の布地のように動くことができなくなるからです。ポリゴンのない所にはスプリングがなく、エッジのスプリングはメッシュ側にのみあるため、クロスが非常に硬く見えがちになってしまいます。
固定されたしわをクロスに付ける場合は、しわをモデリングする必要があります。Syflex クロスではしわは作成されません。
クロスの解像度は、シミュレーションの速度だけでなくクロスの動作にも影響します。クロスの解像度が高すぎたり低すぎる場合、クロスの動作が変化することがあります。最初の手順は、シミュレーションでジオメトリを思いどおりに動作させるのに必要な解像度を見つけることです。たとえば、クロスの衝突が正しく解決されるようにすることから始めることをお勧めします。
すべてのシミュレーションと同様に、適切な結果を得る上で許容できる最も低い解像度を見つけることがポイントとなります。これを実行する方法の1つは、基本的なシミュレーションと衝突を設定する際に、許容範囲の低解像度を使用した「代役」モデルを高速に使用するというものです。その後、ポケットなどのより詳細なレンダリングのために、高解像度メッシュと入れ替えます。シミュレーション メッシュは、ハルまたはケージ デフォーマでレンダ メッシュを動かします。
クロス モデルでは、必要な視覚効果に応じて十分な解像度を使用してください。たとえば、椅子に掛けられているシルクを作成したい場合は、麻の生地を作成する場合よりも高い解像度を使用する必要があります。ただし、クロスのサブディビジョンの数が多いほど、スプリングの計算は複雑になります。
クロスに細かい折り目を付ける場合は、多数のサブディビジョンを使用します。クロスを通常よりもたるませることを検討することもできます。これを行うと、該当する領域により多くのしわを付けられます。
一般的にクロスモデルの解像度では低解像度が好ましくない理由は2つあります。
クロスが思いどおりに動作するようになったら、クロス シミュレーションに合わせて衝突オブジェクトを改造します。クロスおよび衝突オブジェクトに関するヒントについては、「ポリゴン メッシュ オブジェクトとうまく衝突させるためのヒント」を参照してください。たとえば、クロスの解像度を高める代わりに、ポリゴン メッシュ衝突オブジェクトに対して作成される衝突エンベロープを増やすことができます。詳細については、「衝突エンベロープ」を参照してください。
衣服を作成する場合は、クロス モデルに適切な親子階層を設定してください。通常のあらゆるオブジェクトと同様に、クロス オブジェクトもその親からアニメーションを継承します。キャラクタ用にクロスを作成するときは、スケルトン ルートをクロス オブジェクトの親にするのが一般的です。
クロスの境界エッジが衝突オブジェクト(腕、足)に接触するような仕方でクロスが膨らむか、クロスにしわができる場合、クロスの終端(シャツの袖やズボンの裾など)でエッジが問題になることがあります。このような場合には、クロスが衝突オブジェクトを通過してしまうことがあります。袖口または裾の折り返しをつけてこの問題を回避するか、クロスを硬くしてください。
このシミュレーションの最初のフレームの前に、クロスおよびキャラクタのボディとの衝突を回避します。衝突前に交差させると、その領域の法線が互いに反対向きになります。そのため、シミュレーションを開始した後に、その領域でクロスがボディと正しく衝突することがなくなります。
キャラクタは、シミュレーションの開始時(アクションに入る前)に、ニュートラル ポーズまたは T ポーズを取っている必要があります。そのポーズのキャラクタのジオメトリにクロスのサーフェイスが貫通しないように、クロスをキャラクタのボディから離しておきます。次に、キャラクタのアクションの開始前にキャラクタとクロスを安定させるのに必要な数のフレームからなるプリロールを設定します。キャラクタがゆっくりとアクションに入ります。