レンダ パスを定義する

 
 
 

マット、シャドウ、ハイライトなど、プリセット パスで定義されないシーンの特定のレンダリング要素を分離してレンダリングする場合は、独自のレンダ パスを作成できます。シーンには、必要な数のレンダ パスを含めることができます。すべての新規パスは元の Default_Pass(ビューティ パスとも呼ばれる)から独立しています。新規パスは自動的に現在のパスになります。別のパスを現在のパスとして選択するまで、その後のパスやパーティションのコマンドはこのパスに適用されます。

カスタム レンダ パスを作成する

カスタム レンダ パスの作成にはいくつかの方法があります。

  • [Render]ツールバーから[パス](Pass) [編集](Edit) [新規パス](New Pass) [エンプティ](Empty)を選択します。空の新しいパスが「Pass」という名前で作成されるだけではなく、空の背景パーティションも作成されます。

  • [Render]ツールバーから[パス](Pass) [編集](Edit) [新規パス](New Pass) [レイヤに基づく](Based on Layers)を選択します。これで、Scene Layer Manager で定義した各レイヤに対して、新しいパスとパーティションが作成されます。レイヤの使用については、「シーンレイヤ」(「シーン エレメント」)を参照してください。

  • プリセット パスをロードしてカスタマイズし、特定のニーズに合わせることもできます。詳細については、「プリセット レンダ パスを使用する」を参照してください。

新規レンダ パスを作成した後、そのオブジェクトとライト パーティションを定義できます(「パーティションの定義」を参照)。

現在のパスを設定する

シーンを作成すると、Default_Passという名前の1つのパスが作成されます。これは「ビューティ」パスで、シーンのすべてのエレメントを現状のままでレンダリングするように設定されています。このパスはシーンの現在のパスでもあり、その名前は[Render]ツールバーの[パス]のテキスト ボックスに表示されます。

現在のパスは、すべてのパスとパーティションのプロパティが適用されるパスです。新しいパスを作成するたびに、そのパスが現在のパスになります。また、現在のパスはビューポートに[レンダ パス](Render Pass)カメラ ビューが設定されているときに 3D ビューで表示されるパスでもあります。

  1. [Render]ツールバーの[パス]選択メニューの横にある矢印をクリックし、パスのリストを表示します。リストには、シーン用に定義されている使用可能なすべてのパスが含まれます。[パス]選択メニューはメイン メニュー バーでも使用できます。

  2. 現在のパスに設定するレンダ パスを選択します。

  3. パスのカメラの設定、パーティションの追加、現在のパスの削除など、[Render]ツールバーの[パス]コマンドは、現在のパスに適用されます。

  4. 別のパスを変更するには、変更するパスを現在のパスに設定します。

注:[パス]選択メニューのパスの順序は、Explorer で設定したソート順に基づいています。たとえば、[アルファベット順]、[なし(生成順)]などです。Explorer 内の再配列ツールを使用して、この順序を並べ替えることができます。「Explorer でエレメントをソートおよび順序変更する」(「インタフェースおよびツール」)を参照してください。

レンダパスカメラの設定と表示

レンダ パスで使用するカメラ(またはカメラのグループ)を指定できます。カメラは、パスがレンダリングされるときの視点になります。シーンに新しいカメラを追加し、必要に応じてそのカメラをレンダ パスに関連付けることができます。

Explorer では、[Pass Camera]ノードが各レンダ パスのサブノードとして表示されます。これは、各パスで新しいカメラが作成されるという意味ではありません。それぞれのパス専用で使用するカメラを表すのは[Camera]ノードです。

レンダ パス カメラを設定するには

  1. [パス](Pass) [編集](Edit) [現在のパスの編集](Edit Current Pass)を選択して、現在のパスの[レンダパス]プロパティ エディタを開きます。

  2. [出力](Output)タブをクリックし、[パス カメラ](Pass Camera)メニューからパスをレンダリングするカメラを選択します。メニューには、シーンのすべてのカメラが一覧表示されます。また、カメラのグループからのレンダリングを選択することもできます。「複数のカメラを使用してレンダリングする」(「カメラとモーション ブラー」)を参照してください。

現在のパスをそのカメラの視点から表示するには

  • 3D ビューポートの表示メニュー(タイトルバーの左側)から[カメラ](Cameras) [レンダパス](Render Pass)を選択します。これにより、現在のパスの視点がそのカメラの視点に設定されます。

シェーダのパスへの適用

レンダ パスのパス シェーダ スタックを使用すると、環境シェーダ、アウトプット シェーダ、ボリューム シェーダ、およびレンズ シェーダを直接レンダ パスに適用できます。これらのシェーダの異なるセットをシーン内の各パスに定義することができます。

パス シェーダ スタックでは、異なるシェーダが評価される順序を変更できるため、最終的なエフェクトの結果を変化させることができます。また、カメラにはレンズ シェーダも適用できるため、どちらのシェーダ スタックを使用するか、それらを実行する順序、またはパス レンズ シェーダでカメラ スタックのシェーダを上書きするかどうかを決めることができます。詳細については、「カメラへレンズ シェーダを適用する」(「カメラとモーション ブラー」)を参照してください。

[Render Pass]プロパティ エディタを使用してパス シェーダを追加する

[レンダパス]プロパティ エディタ[パス シェーダ](Pass Shaders)タブで、環境シェーダ、アウトプット シェーダ、ボリューム シェーダ、およびレンズ シェーダをパス シェーダ スタックに適用できます。

追加(Add)

パス シェーダ スタックにシェーダ エントリを追加します。

  1. [追加](Add)ボタンをクリックします。

  2. 「Nothing(なし)」という名前のエントリがパス シェーダ リストに追加され、ポップアップ メニューが開きます。

  3. ポップアップ メニューからシェーダを選択します。または、[その他...](More...)を選択して他のシェーダを探します。

  4. シェーダを選択すると、そのシェーダのプロパティ エディタが開きます。このエディタでは、パラメータ値を変更できます。

  5. もう一度[追加]ボタンをクリックし、別のシェーダをパス シェーダ スタックに適用します。1 つのエフェクトには、必要に応じていくつでもシェーダを追加することができます。

削除(Remove)

選択したシェーダをパス シェーダ スタックから削除します。

[シェーダリスト](shaders list)

パス シェーダ スタックに適用された環境シェーダ、アウトプット シェーダ、またはボリューム シェーダの名前を一覧表示します。

シェーダは実行される順に表示されます。順序を変更するには、[配列項目の編集]アイコン(青いソケット)をクリックします。

リスト内のシェーダ エントリをダブルクリックすると、そのシェーダのプロパティ エディタが開きます。また、[接続]アイコン(赤いプラグ)をクリックしてシェーダのプロパティを編集することもできます。

[シェーダリスト](lens shaders list)

パス シェーダ スタックに適用されたレンズ シェーダの名前を一覧表示します。

  • [カメラのレンズ シェーダのみ使用](Use Only Camera Lens Shaders): パスにレンズ シェーダを指定することができません。カメラに適用されたレンズ シェーダがある場合は、それがパスに使用されます。

  • [カメラのレンズ シェーダの後に追加](Add After Camera Lens Shaders): カメラに適用されたレンズ シェーダの後に、ここで定義したレンズ シェーダが適用されます。

  • [カメラのレンズ シェーダの前に追加](Add Before Camera Lens Shaders): カメラに適用されたレンズ シェーダの前に、ここで定義したレンズ シェーダが適用されます。

  • [カメラのレンズ シェーダをオーバーライド](Overwrite Camera Lens Shaders): カメラに適用されたレンズ シェーダの代わりに、ここで定義したレンズ シェーダが適用されます。

 

シェーダ エントリを選択して[配列項目の編集](Edit Array Item)アイコン(青いソケット)をクリックすると、ポップアップ メニューが開きます。このメニューには以下のコマンドがあります。

[削除](Remove): 選択したシェーダをパス シェーダ スタックから削除します。リストからシェーダを削除すると、そのシェーダはエフェクトに影響しなくなります。

[上に移動]/[下に移動](Move Up/Move Down): 選択したシェーダをパス シェーダ スタック内で上または下に移動します。スタック内でのシェーダの位置は、評価の順序を示します。評価の順序を変更すると、最終的なエフェクトの結果に影響します。

 

[接続](Connection)アイコン(赤いプラグ)をクリックすると、選択したシェーダのプロパティ エディタが開きます。このエディタでは、シェーダのパラメータ値を変更できます。

 

[接続](Connection)アイコン(灰色のプラグ)をクリックすると、パス シェーダ スタックに適用できるシェーダのポップアップ メニューが開きます。

詳細については、「接続アイコンの状態」および「変換シェーダの操作」を参照してください。

Render Tree を使用してパス シェーダを追加する

Render Tree の[Pass]ノードを使用すると、環境シェーダ、アウトプット シェーダ、ボリューム シェーダ、およびレンズ シェーダを直接パス シェーダ スタックに適用できます。シェーダ スタックにアクセスするために[レンダパス]プロパティ エディタを開く必要はありません。

  1. Explorer などを使用してパスを選択し、[7]キーを押して Render Treeを開きます。

  2. Render Tree ワークスペースに[Pass]ノードが表示されます。

  3. ノードをすべて展開した状態に設定します。

  4. いずれかの[シェーダ](Shaders) ポート グループを右クリックし、[項目の追加](Add Item)を選択します。

  5. そのポート グループに「[Item]」という名前のポートが追加されます。

  6. そのポートを右クリックし、ポップアップ メニューからシェーダを選択します。または、[その他...](More...)を選択して他のシェーダを探します。

  7. 以上の手順を繰り返し、エフェクトに必要なだけポートおよびシェーダを追加します。

  8. パス シェーダ スタック内のシェーダが評価される順序を変更するには、ポートを右クリックして[上に移動](Move Up)または[下に移動](Move Down)を選択します。評価の順序を変更すると、最終的なエフェクトの結果に影響します。

  9. パス シェーダ スタックからシェーダ(およびそのポート)を削除するには、ポートを右クリックして[削除](Remove)を選択します。リストからシェーダを削除すると、そのシェーダはエフェクトに影響しなくなります。

パスのグローバルレンダラオプションのオーバーライド

目的のとおりにグローバル レンダラ オプションが設定できても、さらにある特定のパスでパラメータを多少調整する必要がある場合があります。この場合は、これらのレンダラ オプションのみを含むオーバーライドを作成し、対象となるパスだけを修正します。

パス オーバーライドを作成するには、グローバル レンダラ オプションのプロパティ エディタでパラメータをマークします。レンダラ オプションをオーバーライドするためにパラメータをマークする方法は、Render Manager からのみ使用できます。

[Render]ツールバーから[取得]>[プロパティ]>[オーバーライド]コマンドを使用してプロパティのオーバーライドを作成することもできます。どちらの方法を使用しても、結果は同じです。オーバーライドの操作の詳細については、「プロパティをオーバーライドする」(「シーン エレメント」)を参照してください。

マーク付けによってオーバーライドにパラメータを追加するには

  1. Render Manager を開きます。

  2. Explorer ビューで、オーバーライドを作成するグローバル レンダラ オプションを使用しているパス ノードを展開します。

    パス ノードを展開すると、レンダラが斜体で表示されるので、グローバル プロパティであることがわかります。

  3. [mental ray]または[Hardware Renderer]を選択します。

  4. パネルの右側に[Global Renderer]オプションが表示されます。オーバーライドする各パラメータの名前を選択してマーク付けします。マーク付けされたパラメータは黄色でハイライト表示されます。

    次のいずれかの操作で選択します。

    • 1 つのパラメータをクリックすると、そのパラメータのみが選択され、その他の選択は解除されます。

    • [Shift]+クリックで、パラメータが選択項目に追加されます。

    • [Ctrl]+クリックで、パラメータが切り替わります。

    • [Ctrl]+[Shift]+クリックで、パラメータの選択が解除されます。

  5. 選択を終了したら、Render Managerのメニューボタンから[編集](Edit)[マークパスパラメータをオーバーライド)](Override Marked Pass Parameters)を選択します。選択したパラメータは、[PassOverride]プロパティ エディタに追加され、[PassOverride]ノードがパス ノードの下に表示されます。

  6. [Override]プロパティ エディタのコントロールを使用して、オーバーライドされたパラメータの値を変更できます。

パスプリセットの作成

パス プリセットを保存すると、実際にはレンダ オプションとパスのシェーダ スタックに適用されたシェーダが保存されます。

パス プリセットを保存するには

  1. Explorer を開き、スコープを[パス](Passes)に設定します。

  2. 保存するパスのアイコンをクリックし、プロパティ エディタを開きます。

  3. プロパティ エディタの上部にある[保存](Save)アイコンをクリックし、パスのレンダ オプションとシェーダ スタックに適用されたシェーダを保存します。

  4. [Pass プリセットの保存](Save Pass Preset)ブラウザが表示されます。プリセットのファイル名を入力し、[OK]をクリックします。

    注:デフォルトでは、¥Data¥DSPresets¥Groups ディレクトリのユーザ パスにパスのプリセットが保存されます。ただし、プリセットは他の任意のディレクトリにも保存できます。

パス プリセットをロードするには

定義済みのパス プリセットを使用しない場合は、独自のものを簡単にロードすることができます。

  1. [Render]ツールバーから[パス](Pass) [編集](Edit) [新規パス](New Pass) [その他](More)を選択します。

  2. ブラウザ内で、プリセット パスを保存したフォルダにナビゲートします。

  3. [OK]をクリックしてプリセットをロードします。

ブラウザまたはカスタム ツールバーからプリセット パスをドラッグし、Explorer の[Render Passes]ルートに直接ドロップすることもできます。プリセット パスは、[Passes]ノードのサブノードとして表示されます。

パスを複製する

パスをシーンに追加する際、それらの多くがよく似た構造を使用していたり、ほとんど同じオブジェクトまたはライトを含むパーティションを持っていることに気づくでしょう。

このような場合には、レンダ パスを複製して複製したパスを修正したほうが、最初から(またはプリセットを修正して)類似したパスを複数作成するより容易な場合があります。

パスを複製するには

  1. Explorer を開き、スコープを[Passes]に設定します([P]キーを押す)。

  2. 複製するパスを選択します。

  3. メインコマンドエリアの[Edit]パネルから、[複製/インスタンス作成](Edit) [1 つ複製](Duplicate Single)を選択してパスを複製します。

    複製したパスはパス リストに追加されますが、現在のパスにはなりません。

パスを削除する

不必要なパスを削除する操作は簡単です。

[Render]ツールバーを使用して現在のレンダ パスを削除するには

  1. 削除するレンダ パスを現在のパスにします。

  2. [Render]ツールバーから[パス](Pass) [編集](Edit) [現在のパスの削除](Delete Current Pass)を選択し、現在のパスを削除します。

Explorer を使用してパスを削除するには

  1. Explorer を開き、スコープを[パス]に設定します([P]キーを押します)。

  2. 削除するパスを選択します。

  3. キーボードの[Delete]キーを押します。