Maya ソフトウェア(Maya Software) レンダラのファー レンダラに関するトラブルシューティング

 
 
 

レンダー時にズームインすると、サーフェスからファーが出て来る部分のアルファ チャネルに小さなギャップが表示されることがある

この問題は、アンチエイリアシングをかけたジオメトリのエッジからファーが出て来ることによって引き起こされます。ファーのアルファが始まる前のアンチエイリアシング領域に 1 ピクセルあるためです。このギャップは通常、ファーが非常にまばらであったりファーのカラーに対するバックグラウンド カラーのコントラストが非常に高かったりする場合を除いて、あまり目立たないものです。

対応策:ファー ディスクリプション(Fur Description)オフセット(Offset)の値を小さな負の数に設定します。これにより、ファーがジオメトリのわずかに内側から出て来るようになり、ギャップが解消されます。

レンダー時に、NURBS サーフェスとそこから出ているヘアの間にファセット状のギャップができる

ファー レンダラで、NURBS に非常に高い設定の既定のテッセレーション係数が使用されています。低い値でジオメトリをテッセレーションすると、最終的な合成結果に不整合が生じることがあります。

対応策: ジオメトリのテッセレーションを増やすか、ファーで使用するテッセレーションを減らします(ファー > ファー レンダー設定(Fur > Fur Render Settings) > 詳細オプション(Advanced Options))。

ファーを適用したオブジェクトの前をファーのないオブジェクトが通過すると、メインのオブジェクトの周囲に縞状のノイズ(フリンジ)が生じる

Maya ソフトウェア(Maya software) レンダラでは、Z 深度情報を使って内部的にファーがジオメトリと合成されます。Z バッファはアンチエイリアシングされないため、ファーの前にジオメトリがあると、ノイズが生じることがあります。

対応策 1: 2 倍の大きさでレンダーしてからイメージを縮小するか、別のパスでレンダーしてから、アルファ チャネルを使用して合成します。

対応策 2: ファーを放出するオブジェクトを選択して、そのオブジェクトを新しいレンダー レイヤに割り当てます。次に、ファーを放出するオブジェクトとファーが適用されたオブジェクトの両方を選択して、これらのオブジェクトを 2 番目のレンダー レイヤに割り当てます。この 2 番目のレイヤで、ファーを放出するオブジェクトの一次可視性(Primary Visibility)をオーバーライドします。すべてのレイヤをレンダーします。

対応策 3: mental ray for Maya を使用してレンダーします。mental ray レンダーにはこの問題が発生しないからです。

ファーのレンダリングが異常に遅い。速くする方法はないか

ファーのレンダリング時間は使用するファーの毛の数に比例して長くなります。つまり、10,000 のファーの毛をレンダーするには、5,000 のファーの毛の場合に比べて 2 倍の時間がかかります。ファーでシャドウ マップ(Shadow Maps)をオンにしたライトの場合、シャドウ マップの計算には、レンダリング自体と同じ時間がかかります。たとえば、2 つのシャドウ マップを使用すると、レンダリング時間が、シャドウ マップを使用しない場合の 3 倍かかります。逆に、実質的に自動シェーディング(Auto Shading)が自由になり、後面やルートのシェーディングがリアルになります。

対応策:ベースの幅(Base Width)が太いファーの毛の数を減らして、サーフェスの適用領域を改善します。セグメント(Segments)数を減らすこともできます(特に、ファーが真っ直ぐの場合)。使用するファーのシャドウ マップ(Fur Shadow Maps)数を最大でも 1 または 2 に制限して、代わりに、大部分のライトに自動シェーディグ(Auto Shading)またはシェーディングなし(No Shading)を使用します。

眼鏡を通して見える眉毛やまつげなど、屈折のあるマテリアル越しのファーはどのようにレンダーされるか

Maya ソフトウェア(Maya software) レンダラでは、レイ トレーシングした屈折や反射ではファーは表示されません。ただし、このような場合を含めて模倣した簡易のエフェクトを作成することはできます。次のテクニックは、ペイント エフェクト(Paint Effects)でも同様に有効です。

対応策: ファーのシーンをすべてレンダーします。このとき、眼鏡のレンズ越しのファーは非表示にしておきます。次に、上記のイメージを使ってイメージ プレーンを作成し(imagePlane のアトリビュート エディタで RGB 表示モード(Display Mode RGB)解像度ゲートに合わせる(Fit to Resolution Gate))、屈折の可視(Visible in Refractions)をオンにします。イメージ プレーンがレンズの一番後ろの部分にぴったり来るまで、インタラクティブ に深度(Depth)値を変更します(必要に応じ、エクスプレッションを設定して正確にトラックすることもできます)。眼鏡のレンズ、眼鏡のフレーム、イメージ プレーンだけをレイ トレーシングしてほかはすべてを非表示にし、ファー レンダリングをオフに設定して、シーンを再びレンダーします。ファーを含むイメージ プレーンがレンズを通して屈折します。mental ray の場合、1 つのレンダリング パスで正確にファーを屈折および反射することができます。

バッチ レンダラを使用してファー イメージだけをレンダリングできないか

Maya レンダラを無効にすると、バッチ レンダラでファー イメージだけをレンダリングできます。

対応策: 通常どおりにシーンをセットアップしてから、ファー レンダー設定(Fur Render Settings)詳細オプション(Advanced Options)にある Maya レンダリングの無効化(Disable Maya Rendering)をオンにします。

ファーを使用しているときにメモリ不足になる。メモリの使用を最適化する方法はあるか

ファー イメージとシャドウ マップ両方のピクセル単位のトラッキングするヘアの数は、制御することができます。これは、精度とメモリ使用量の兼ね合いの問題になります。大きなシャドウ マップを処理する際に非常に大量のメモリを消費するため、ファーに使用されたシャドウ マップのサイズを小さくすることもできます。

対応策: 特に、キャラクタを離れた場所に配置してあるシーンでは、ファー イメージ レンダリング(Fur Image Rendering)およびシャドウ マップ レンダリング(Shadow Map Rendering) (該当する場合)両方のファー レンダー設定(Fur Render Settings)詳細オプション(Advanced Options)にあるヘア/ピクセル(Hairs/Pixel)値を小さくします。不必要に大きなシャドウ マップを使用しないようにし、できる限り代わりに自動シェーディング(Auto Shading)を使用します。

ファーの特にスペキュラ ハイライトの部分が明るすぎるように見える。修正方法はあるか

まず、ファーのカラーがどのように計算されるかを理解しておく必要があります。ファーでは、カラーにアンビエント カラーとスペキュラ カラー(設定したライト モードによる)が追加され、その結果にライトの輝度をすべて掛け合わせます。このため、他に比べて輝度の高いライトが複数ある場合、ハイライトが明るすぎる状態になります。

対応策: これを補正するには、スペキュラ カラーを極めて暗く設定します。ハイライトを分割するには、再び暗いカラーを使ってスペキュラ カラーをフラクタルかブラウニアン(brownian)にマッピングします。結果が満足のいくものになった時点でベイク処理(Bake)を行うことを忘れないでください。スペキュラ ハイライトが大きすぎる場合は、スペキュラ シャープネス(Specular Sharpness)を大きな値に設定します。200 以上が良いでしょう。ファーには適切に見えるライティングおよびジオメトリに最適に見えるライティングを解決できない場合、強度乗数(Intensity Multiplier)の値を使用してファーに対するライトのエフェクトだけを変更することができます。強度乗数(Intensity Multiplier)の値は、どのようなライトにも追加できるファー シャドーイング アトリビュート(Fur Shadowing Attributes)の一部です(ファー > ファー シャドーイング アトリビュート(Fur > Fur Shadowing Attributes) > 選択したライトに追加(Add to Selected Light)(Add to Selected Light))。ファー シェーディング タイプ(Fur Shading Type)シェーディングなし(No Shading)に設定しても、強度乗数(Intensity Multiplier)を調整することはできます。